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民主主義の衰退が生むグレーゾーンビジネス
民主主義国における非国家アクター
民主主義の国では政府と非国家アクターの双方にメリットのある関係は民主主義的価値感と相容れないために成立しない。しかし、SNSプラットフォーム企業や国家向けスパイウェア企業などは民主主義国にも存在する。表の1、2がそうだ。
ひとことで言うと、民主主義国では一方的に非国家アクターにメリットがある。民主主義国家においては法の枠内で企業は自由に活動し、利益を得ることができる。グーグルが中国に検閲機能つきサーチエンジンを提供したり、イスラエルに監視クラウドを提供するのも自由だ(非難はされるが)。
今の時代は民主主義と権威主義のボーダーラインがあいまいになっており、シームレスに移行することができる。実態は独裁であっても、自称民主主義の国はいくつも存在し、今後も増える見込みだ。世界全体で考えた時のビジネス規模においても非民主主義国も顧客にした方が市場は大きく、規制もゆるく、利益は大きい、倫理的な問題に目をつぶればだが。
一般的に人間の身体、心理、社会に深刻な影響を与える可能性のあるものにはなんらかの規制が必要と考えられている。SNSプラットフォームが提供しているサービスは利用者の精神に影響や行動に影響を与える可能性があることは以前から指摘され続けてきた。本来ならば統計的あるいは臨床的な検証を経て一定の条件のもとでサービスとして提供可能になるべきなのだが、現実には企業自身の判断で自由にサービスを提供し、内容を変更することができる。環境に関する規制や監視がなく、公害による被害が起きていた時代と同じことが起きている。
民主主義の理念に反しているが、法律で規制されているわけではない。単に法律や規制が現実に追いついていないだけなのだが、今日のように技術革新や新ビジネスが次々と行われている状況においては常に法律や規制から漏れる領域が存在し、莫大な利益を得られるチャンスが転がっている。さらにビッグテックはロビイスト活動も積極的に行っており、法律や規制の成立を遅らせ、実効性を下げようと努力している。SNSプラットフォームは法規制がないことを理由に人や社会に対するリスクを知りながらもビジネスを拡大しているグレーゾーンビジネスだ。
民主主義的価値感とは相容れないことが問題であるのは、非国家アクターもわかっているので、表向きは民主主義を標榜しているふりをする。以前ご紹介したグーグルの中国向けサーチエンジンとイスラエル向け監視クラウドは極秘プロジェクトとなっていた。その一方でファクトチェック団体への支援など民主主義的価値感を守るための活動にも取り組んで民主主義的価値感を尊重している姿勢をアピールしている。
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