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民主主義の衰退が生むグレーゾーンビジネス
余談であるが、たとえば中国政府やロシアのワグネル(しないと思うが)の資金提供をファクトチェック団体が受け入れたら、その団体は「そういうもの」として認識され、発表内容は信憑性に欠けると思われるだろう。支援を受けたジャーナリストやメディアも同様だ。しかし、グーグルやフェイスブックなど欧米の非国家アクターからの支援を受けても、そうは思われない。さらに資金提供を受けた団体や個人の中には自らの信頼性を守るために資金提供元を擁護するようになるものもあるだろう。
また、グーグルなどはアドネットワークなどを通じて陰謀論者や白人至上主義者のグループに広告料金を支払っており、これが中国やロシアのデジタル影響工作と未秘のエコシステムを形成している。
中国やロシアはアメリカ社会の混乱を拡大するために陰謀論者や白人至上主義者のグループの発言を拡散し、増加したアクセスに対してグーグルなどアドテックが広告料金を支払う。陰謀論者や白人至上主義者のグループは得た資金で仲間のリクルーティングや武装化を進める。仲間は増え、活動が活発になると発言も増え、それらをさらに中国とロシアが拡散し......という拡大再生産のループだ。中国とロシアは発言を拡散するだけでアメリカ国内の危険分子を増加させ、資金提供することができ、グーグルなどのアドテックは売上を伸ばすことができるという未秘の協力関係に基づくエコシステムである。
実際、コロナ禍において陰謀論者や白人至上主義者のグループは反ワクチンなどの発言を行い、それを中国とロシアが拡散し、広告収入が増加したことがわかっている。
このようにして拡大した陰謀論者や白人至上主義者のグループはアメリカおよび世界にとっての脅威になりつつある。2021年1月6日のアメリカ連邦議事堂襲撃事件、ドイツのクーデター未遂事件、ブラジルの暴動が脅威が現実のものであることを示している。これらはアメリカのSNSプラットフォーム、アドテック、陰謀論者たちと中露の拡散が結びついた結果生まれた結果なのだ。
拡大するグレーゾーンビジネス
非国家アクターというグレーゾーンビジネス組織は中国やロシアなどの権威主義国においては政府と非国家アクター双方にメリットがあり、民主主義国では非国家アクターにとって大きなメリットがあるため、しばらくは拡大を続けるだろう。非国家アクターが行っているグレーゾーンビジネスはすでに我々の社会を広く侵食している。
バイデンは民主主義サミットを開催して、民主主義の再興を訴えたが、アメリカ自身が民主主義を衰退させる非国家アクターの巣窟になっている。さらにSNSプラットフォームやQAnonや白人至上主義といった危険な非国家アクターを世界各国に輸出している。この矛盾を克服できなければ民主主義の再興は絵に描いた餅でしかない。
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