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トランプが作る新しいSNSが1千億円以上を調達 しかし中国企業の関与などの疑惑深まる
1千億円以上を調達するトランプの新会社と中国企業の関係
Trump Media and Technology GroupはSPAC(特別買収目的会社)という仕組みを利用して上場する予定であり、その際に1千億円以上の資金を得ることになっている。まず、SPACによって約300億円、その後の資金調達でおよそ1千億円以上だ。1千億円の資金提供者集めにトランプは奔走し、多くのヘッジファンドや投資会社にコンタクトした。ミレニアム・マネジメント、ハドソン・ベイ・キャピタルなどは断り、ペントウォーター・キャピタルやサビー・マネジメントは合意した(The New York Times)。その結果、36の投資家から千億円以上の資金を調達できることになった。
SPACは、「上場後に有望な企業を買収する」ことを目的に起業した企業が上場して資金を集め、その資金で上場後に有望な企業を買収するという仕組みだ。有望な新興企業は上場準備の手間と時間を節約することができ、資金調達できるメリットがある。アメリカでは近年SPACを利用して上場する企業が増加している。今回、Trump Media and Technology Groupは、Digital World AcquisitionというSPACに買収されることになっている。Digital World Acquisitionの公開時の株価は10ドル程度だったが、Trump Media and Technology Groupの発表によって90ドル以上に跳ね上がり、今年に入ってアメリカ株式が下落する中でも60ドル前後と6倍の値をつけている。アメリカにおけるトランプへの注目度の高さがうかがえる。
しかし、Trump Media and Technology Groupの買収には暗雲がたちこめている(The New York Times)。Digital World Acquisition社が上場の際にTrump Media and Technology Groupと買収に関する話し合いを持っていたことを開示していなかったことが問題となって、アメリカ証券取引委員会(SEC)が調査を行っているのだ。
また、上海に拠点を持つArc Capitalという中国企業の関与も問題視されている。同社はDigital World Acquisitionの設立を支援し、今回の買収にも関わっていた可能性が疑われている企業であり、ウォール街では悪い意味で注目されている企業である。
2017年にアメリカ証券取引委員会に同社が関与する企業3社の上場を「重大な虚偽の記載」を理由に差し止めた。過去10年間に数百の企業が上場したが、「重大な虚偽の記載」を理由に上場をアメリカ証券取引委員会が上場を止めたのはたった35件だった。
また、ウェブサイトにはモルガンスタンレー、ゴールドマン・サックス、PwC、KPMGなどの有名企業の戦略パートナーとなっていることが記載されていたが、これらの企業は関係を否定している。
以前、「アメリカの顔をした中国企業 Zoomとクラブハウスの問題」で見えない形でアメリカ国内に広がっている中国企業をご紹介した。金融業界にもArc Capitalのように入り込んでいる。
Trump Media and Technology Groupが調達する資金のほとんどは今回の買収が完了しなければ手に入らない。前途多難だが、もし無事に買収が完了すれば1千億円以上の資金を持つ新しいSNS企業が誕生することになる。その規模も目的も脅威だ。そして、ツイッターの対抗馬として日本に上陸してくる可能性は少なくない。
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