- HOME
- コラム
- デジタル権威主義とネット世論操作
- 国家別サイバーパワーランキングの正しい見方
国家別サイバーパワーランキングの正しい見方
サイバー空間における国家の能力を評価する方法が定まっていない...... gorodenkoff-iStock
<各国のサイバーパワーの実態を把握することは重要だ。最近、公開された3つのレポートを例にサイバー空間における能力の評価=サイバーパワーランキングの課題をご紹介する>
サイバー空間はインフラとなり、安全保障、経済、交通、教育などさまざまな分野でなくてはならない存在となっている。サイバーパワーの活用、防衛、攻撃は国家の重要な課題となっていると言っても過言ではないだろう。しかも活用されていればいるほど、攻撃あるいは事故が起きた時の被害も甚大となるため、活用と防衛は一体と言える。さらに効果的な防衛を実現するためには攻撃に関する情報と能力も不可欠となる。
そのため活用、防衛、攻撃をバランスよく発展させる必要がある。バランスを取るためには自国の相対的な能力水準を把握する必要があるが、それが難しい。サイバー空間における国家の能力を評価する方法が定まっていないのだ。最近、公開された3つのレポートを例にサイバー空間における能力の評価=サイバーパワーランキングの課題をご紹介したい。
・Global Cybersecurity Index 国際電気通信連合(ITU)
・National Cyber Power Index ハーバード大学ベルファーセンター
・Cyber Capabilities and National Power 国際戦略研究所(IISS)
これらはいずれも国家のサイバーパワーについてなんらかの基準に基づいてまとめている。しかし、表をご覧いただくとわかるように、評価方法、項目、方法論がかなり異なっており、結果も異なる。そのため使い方には注意が必要だ。
それぞれのレポートの国家ランキングの表を見るとわかるようにアメリカ、イギリスなどは共通して上位にあるが、それ以外は異なっている。似ているのはサイバーパワーについてまとめている点だけで、実は方法論や内容はだいぶ違う。では、どれが一番実態に即していて使えるものなのだろうか?
中国が仕掛ける「沖縄と台湾をめぐる認知戦」流布される5つの言説 2024.10.30
SNSで燃え上がる【偽・誤情報の拡散】...カギとなる対抗する力とは? 2024.09.18
英暴動は他人事ではない......偽・誤情報の「不都合な真実」 2024.08.16
中国が台湾併合する非軍事シナリオを米シンクタンクが公開......日本が核武装? 2024.06.12
見直しが始まった誤・偽情報対策 ほとんどの対策は逆効果だった? 2024.05.08
検索結果をプロパガンダと陰謀論だらけにするデータボイド(データの空白)脆弱性 2024.04.08
2024年、SNSプラットフォームが選挙を通じて世界を変える 2024.03.15