- HOME
- コラム
- デジタル権威主義とネット世論操作
- サイバー諜報企業の実態 人権活動家やジャーナリスト…
サイバー諜報企業の実態 人権活動家やジャーナリストを狙って監視・盗聴
利便性と危険性の高い民間サイバー企業の台頭
サイバー諜報企業は現在も増えつつある。2019年8月5日のForbesの記事ではWi-Fiハッキングのintellexa、Android用スパイウェア開発企業Cytrox、3Gと4GハッキングのNexa Technologiesなどが紹介されている。Ability Inc、Verint、Rayzone、1rstWAPといった、Circlesと同じSS7脆弱性を利用している企業も増えている。
サイバー諜報企業の活動が活発になってきたのは2010年代に入ってからで、2013年頃には一部で問題視されるようになった。これはネット世論操作産業が発展した時期と一致しており、ロシアがハイブリッド戦を軍事ドクトリンに盛り込んだ時期(2014年)とも一致している。この時期にサイバー空間は本格的なハイブリッド戦の戦場に変化したと言える。
サイバー諜報だけでなく、顔認証システム、予測捜査システムなど民間企業が治安や安全保障に関わる分野に台頭してきている。SNSの影響力は市民の情報を国家より多くより速く把握し、行動に影響を与えるインフラとなった。我々の日常は、10年前の日常とは根本的に異なっているはずなのだが、それが目に見えてわかるようになるのはもう少し先だろう。
この連載をご覧になっている方にはなんとなくおわかりだと思うが、サイバー諜報企業の活動に対する筆者の関心はここ数年薄れている。数年前までは関心の枠内にあったのだが、最近は別なものを追いかけている。久しぶりに情報を再点検して、日本国内でほとんど取り上げられていないことに驚いた。あらためて日本のサイバーセキュリティ産業の層の薄さに気がついた次第である。
中国が仕掛ける「沖縄と台湾をめぐる認知戦」流布される5つの言説 2024.10.30
SNSで燃え上がる【偽・誤情報の拡散】...カギとなる対抗する力とは? 2024.09.18
英暴動は他人事ではない......偽・誤情報の「不都合な真実」 2024.08.16
中国が台湾併合する非軍事シナリオを米シンクタンクが公開......日本が核武装? 2024.06.12
見直しが始まった誤・偽情報対策 ほとんどの対策は逆効果だった? 2024.05.08
検索結果をプロパガンダと陰謀論だらけにするデータボイド(データの空白)脆弱性 2024.04.08
2024年、SNSプラットフォームが選挙を通じて世界を変える 2024.03.15