インド、総選挙後初の予算発表 雇用創出や地方開発に重点
7月23日、インドのシタラマン財務相は、モディ政権の総選挙後初となる予算が雇用創出や中間層支援に重点を置いた編成になると述べた。ニューデリーで23日撮影(2024年 ロイター/Altaf Hussain)
Sarita Chaganti Singh Nikunj Ohri
[ニューデリー 23日 ロイター] - インド政府は23日、モディ政権の総選挙後初となる予算を発表した。財政赤字を縮小しつつ雇用と農村開発への支出を増やすことに配慮した。
総選挙でモディ首相率いる与党インド人民党(BJP)は単独過半数を確保できず、連立を組んで政権を維持した。農村部の苦境と雇用市場の低迷が原因とみられている。
シタラマン財務相が議会に提出した予算では、今後5年間の雇用創出に240億ドルが割り当てられ、地方の開発には今年だけで320億ドルが計上されている。
HDFC銀行のエコノミストは「財政再建に妥協することなく、雇用創出と技能向上、農村開発と農業の支援、インフラ支出への継続的な注力を絶妙なバランスで実現した」と評価した。
株式投資と株式デリバティブ取引への課税を引き上げる一方、低所得者層には減税措置を講じた。
政府は2024─25年度の財政赤字を国内総生産の4.9%まで削減する計画。これは2月の中間予算の5.1%を下回る。市場からの総借入額は14兆100億ルピーとわずかに減少した。
製造業を含む企業に対する雇用関連のインセンティブや、技能向上プログラムや高等教育向け融資の補助といった施策も盛り込まれた。
インドの都市部における公式失業率は6.7%だが、民間機関の調査では8.4%とされている。
長期インフラプロジェクトへの支出を11兆1,100億ルピーに維持し、財源として州に対し1兆5000億ルピーの長期融資を行う方針も示した。
<株式投資への課税>
1年未満の株式投資に対する税率を15%から20%に、1年以上の税率は10%から12.5%に引き上げた。
株式デリバティブ取引への課税も引き上げられた。
エーデルワイス・ミューチュアル・ファンドのチーフインベストメントオフィサー、トリディープ・バタチャリヤ氏は、今回の税制改正は市場にとって短期的にはマイナスだと指摘。長期投資への後押しになると付け加えた。