ニュース速報
ワールド
アングル:米政府機関、再び閉鎖危機 歳出削減で下院共和に確執

米下院共和党内で歳出削減を巡る強硬派と中道派の確執が表面化しており、連邦政府機関が今秋、この10年で4度目の閉鎖に見舞われるリスクが高まっている。写真は、強硬派グループ「フリーダム・コーカス(自由議連)」所属のスコット・ペリー議員とアンディ・ビッグス議員。5月30日、ワシントンで撮影(2023年 ロイター/Jonathan Ernst)
[ワシントン 21日 ロイター] - 米下院共和党内で歳出削減を巡る強硬派と中道派の確執が表面化しており、連邦政府機関が今秋、この10年で4度目の閉鎖に見舞われるリスクが高まっている。
強硬派グループ「フリーダム・コーカス(自由議連)」のメンバーは歳出を2022年度の水準1兆4700億ドルに削減するよう要求。これはバイデン大統領とマッカーシー下院議長(共和党)が5月に債務上限問題で合意した額より1200億ドル少ない。
同グループは21日、要求を満たさない政府機関維持に向けた暫定措置には反対すると表明した。
ゴールドマン・サックスのアナリストは同日のリサーチノートで、閉鎖の可能性は「ないよりはある方が高い」と指摘した。
一方、中道派は強硬派について、自らの優先事項が上院とホワイトハウスを支配する民主党に拒否され、いずれにせよ歳出はバイデン氏とマッカーシー氏が合意した水準付近になるという事実を無視していると指摘する。
強硬派は10月1日に始まる24会計年度について、連邦債務を削減し、メディケア(高齢者医療保険)などの社会プログラム改革に向けた共和党の決意を示す試金石と考えている。
フリーダム・コーカスに所属するベン・クライン議員は「共和党から(下院過半数に当たる)218票を獲得するには、新型コロナウイルス流行以前の水準に沿った歳出が必要だという理解が必要だ」と訴える。
民主党は強硬派案に反対しており、マッカーシー氏が9月30日の予算期限までに12本の歳出関連法案を全て可決したいのであれば、共和党票は4票までしか失えない。
上院共和党の元予算担当ディレクターで、現在はシンクタンク「超党派政策センター」に所属するウィリアム・ホーグランド氏は「どうやってこの窮地を脱するのか分からない」と語った。
<9月12日に休会明け>
下院が9月12日に夏季休会から再開すると、12日間で法案をまとめて上院と妥協案を練り上げなければ、一部政府機関閉鎖のリスクがある。
フリーダム・コーカスは、目的のためには閉鎖が必要かもしれないと言う。
30─40人規模の同グループをまとめるスコット・ペリー議員は、一般的にメンバーは閉鎖を望んでいないとしつつ、「誰かが、あるいは何かがそれを引き起こさなければ、ワシントンで困難なことはほとんど実現しないとも理解している」とロイターに語った。
上院民主党トップのシューマー院内総務は先週、下院が党派色を強め政府機関が閉鎖されれば、責任は共和党にあると述べた。
財源や政策を巡る対立で連邦政府機関が閉鎖されたのは過去10年間で3回。13年に医療費問題で1回、18年に移民問題で2回あった。超党派の議会予算局(CBO)によると、18年12月に始まり19年1月まで続いた35日間の閉鎖はGDP(国内総生産)の0.02%の損失をもたらした。
(David Morgan記者)