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第2四半期マレーシアGDPは前年比+2.9%、輸出低迷で約2年ぶり低水準

マレーシア中央銀行が18日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年比2.9%増加した。写真はクアラルンプールのマーケットで2020年11月撮影(2023年 ロイター/Lim Huey Teng)
[クアラルンプール 18日 ロイター] - マレーシア中央銀行が18日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は前年比2.9%増で、第1・四半期の5.6%増から減速し、約2年ぶりの低い伸びとなった。ロイターがまとめたエコノミスト予想の3.3%増を下回った。輸出低迷と世界的な景気減速が響いた。
中銀はまた、世界的な逆風を理由に、通年の成長率が従来予想の4─5%の下限寄りになるとの見方を示した。
アブドゥル・ラシード・ガフォール総裁は記者会見で「マレーシアの成長見通しへのリスクは、予想より弱い世界経済成長に主に起因する下方リスク次第だ」と述べた。
エルニーニョの影響や工場の保守点検の長期化により商品(コモディティー)の生産が予想を下回る可能性もあると述べた。マレーシアは、パーム油と液化天然ガスの主要輸出国。
観光客の増加や国内プロジェクトの実施加速が一定の押し上げ要因となり得るとも指摘した。
世界的なリセッション(景気後退)は予想していないが、世界経済の成長率は長期平均を下回るだろうと述べた。
18日に発表された7月の貿易統計は、輸出が前年同月比13.1%減とエコノミストの予想(11.3%減)を下回った。輸入も予想以上に減少した。
ムアマラート・マレーシア銀行のMohd Afzanizam Abdul Rashid氏は、今回のGDPと貿易統計はマレーシア経済がいかに世界的な景気減速の影響を受けやすいかを示していると指摘した。
消費者も支出に慎重になるとみられ、下半期は成長が鈍化すると予想した。「GDP成長率が4─5%の予想を下回るリスクはかなり大きい」と述べた。
オックスフォード・エコノミクスのシニアエコノミスト、アレックス・ホルムズ氏は、4─5%という政府の成長率予想は達成できなさそうで、利上げの可能性がなくなり利下げも視野に入ると指摘。輸出低迷が企業利益に影響し、ひいては投資や雇用、賃金の伸びの重しになるため、内需に弾みがつきにくい状況になるとの見方を示した。
資金流出圧力もある。通貨リンギは今年、対ドルで5%以上下落し、東南アジア通貨の中で最も大きく下げている。中銀はリンギ安定のために介入の用意があると表明している。
中銀は先月、成長減速とインフレ鈍化を理由に政策金利を据え置いた。エコノミストは年内は据え置くとみている。
中銀は18日、昨年の水準が高かったことをもあり、総合インフレ率とコアインフレ率は下期に一段と低下するとの見通しを示した。