ニュース速報

ワールド

インドネシアが20年ぶりに海砂輸出解禁、海洋生息地の環境悪化懸念も

2023年05月30日(火)13時47分

 5月29日、インドネシア政府はこのほど、海砂の輸出を20年ぶりに解禁した。写真はシンガポールの砂の在庫。2019年6月撮影(2023年 ロイター/Edgar Su)

[ジャカルタ 29日 ロイター] - インドネシア政府はこのほど、海砂の輸出を20年ぶりに解禁した。隣国シンガポールの土地拡張プロジェクトに追い風となりそうだが、海洋生物生息地への悪影響を懸念する声も出ている。解禁した理由は明らかにされていない。

インドネシアは2003年に海砂の輸出禁止を導入。07年に違法輸出を取り締まる方針を再確認した。禁止されるまで、シンガポールにとってインドネシアは土地拡張用海砂の主要調達先の一つで、1997年から02年までに年平均で5300万トン余りを輸入していた。

海砂輸出禁止措置はインドネシアとシンガポールにとって外交上の懸案事項となり続け、07年にはシンガポールが、インドネシアはこの措置を武器に犯罪人引き渡し条約や国境に関する交渉で圧力をかけていると非難する局面もあった。

国連の2019年の報告書によると、シンガポールは世界最大の海砂輸入国で、それまでの20年間で近隣諸国から合計5億1700万トンを輸入した。最大のシンガポール向け海砂輸出国はマレーシアだが、同国は19年に輸出を禁止している。

インドネシア海洋水産省の報道官は、海砂の輸出が認められるのは国内需要を満たした後に限ると述べ、採掘規制の枠組みは環境基準に確実に対応することを目指していると強調した。

ただNGOのインドネシア環境フォーラム(WALHI)は、輸出解禁はより健全な海の生態系を守るという政府の約束と矛盾しているとの批判している。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:欧州のAI規制法、具体的な実施規則が焦点

ビジネス

アングル:タイ自動車部品業界に暗雲、家計債務増大や

ワールド

ヒズボラ指導者ナスララ師の音信途絶える=関係筋

ワールド

米国務長官、中国外相と会談 ロシアへの軍事支援など
MAGAZINE
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
特集:羽生結弦が能登に伝えたい思い
2024年10月 1日号(9/24発売)

被災地支援を続ける羽生結弦が語った、3.11の記憶と震災を生きる意味

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 2
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断された手足と戦場の記憶
  • 3
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 4
    中国で牛乳受難、国家推奨にもかかわらず消費者はそ…
  • 5
    プーチンと並び立つ「悪」ネタニヤフは、「除け者国…
  • 6
    中国が最大規模の景気刺激策を発表、これで泥沼から…
  • 7
    野原で爆砕...ロシアの防空システム「Buk-M3」破壊の…
  • 8
    「ターフ/TERF」とは何か?...その不快な響きと排他…
  • 9
    爆売れゲーム『黒神話:悟空』も、中国の出世カルチ…
  • 10
    【クイズ】「バッハ(Bach)」はドイツ語でどういう…
  • 1
    キャサリン妃の「外交ファッション」は圧倒的存在感...世界が魅了された5つの瞬間
  • 2
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ日本の伝統文化? カギは大手メディアが仕掛ける「伝検」
  • 3
    がん治療3本柱の一角「放射線治療」に大革命...がんだけを狙い撃つ、最先端「低侵襲治療」とは?
  • 4
    ワーテルローの戦い、発掘で見つかった大量の切断さ…
  • 5
    白米が玄米よりもヘルシーに
  • 6
    メーガン妃に大打撃、「因縁の一件」とは?...キャサ…
  • 7
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 8
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 9
    NewJeans所属事務所問題で揺れるHYBE、投資指標は韓…
  • 10
    先住民が遺した壁画に「当時の人類が見たはずがない…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 6
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つ…
  • 9
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
  • 10
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中