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写真が語る2022年
道路に座り込んで抗議デモを行う、環境保護団体「ジャスト・ストップ・オイル」のメンバーを引きずる男性。10月15日、英ロンドンで撮影(2022年 ロイター/Henry Nicholls)
[21日 ロイター」 - ウクライナ戦争や他の武力紛争の戦禍から、前代未聞の自然災害、難民や移民の逃避行、そして世界各地で起きた抗議活動まで――。ロイターの写真記者は、2022年の最も重要な出来事を目撃してきた。
(※スライドショーには、一部遺体の写真が含まれます。)
彼らはロシア軍が撤退した後のウクライナ・ブチャで、道端に遺体が何体も横たわっている現場を目撃した。米フロリダ州では、ハリケーン「イアン」が残した爪痕を捉えようと洪水に浸かった。そして、救急隊が雑踏事故で犠牲になった人々の遺体を運びだす作業に追われていた韓国ソウルの路上にもいた。
干ばつで干からびたソマリアの大地と、そこに暮らす人々の絶望を写した記者もいた。
汚職に抗議するデモ参加者らが、スリランカ・コロンボの大統領公邸内を喜び走り回る様子も捉えた。また英国人がエリザベス女王の在位70年祝賀行事「プラチナジュビリー」を祝う様子と、その3カ月後に亡くなった女王の荘厳な葬儀、そしてその死を悼む人々の悲しみを捉えた。
今年撮影された印象に残る写真を、写真記者による裏話と共に紹介する。
キム・ホンジ記者(韓国ソウル)
「深夜に近い時間帯だったが眠れずにいた時、ソウル中心部の雑踏で複数人が負傷しているとの速報を見た。私が現場に到着した時には、遺体が運び出され、目の前で負傷者が処置を受けていた。ハロウィーンパーティーに参加する人々が、負傷者の横を通り過ぎて行った。現実離れしていて信じがたく、混乱を極めた状態だった。感情をこらえるのに必死だった」
フェイサル・オマール記者:ゲド州(ソマリア、ゲド州)
「遠くに、ソマリア人女性が灼熱の中で立っているのが見えた。頭や顔から滝のように流れる汗を拭いながら、彼女の元へ歩いた。彼女の写真を撮り、なぜそこに立っているのかを尋ねた。彼女は、ハビバ・ビレさんといい、飼っていたヤギ200匹が全て死んだのだと私に言った。『ここで死んでいるのが、最後の1匹だった』と口にした。彼女は悲しみに暮れ、そして飢えていた」
ゾーラ・ベンゼムラ記者(ウクライナ、ブチャ)
「ロシア軍が撤退したと聞き、私たちは人道支援物資を運ぶ車列の後ろに付いて、ウクライナの首都キーウ郊外にある町ブチャへと向かった。破壊された軍用車両や兵士の遺体があることは想定していたが、目にした惨状は想像を絶するものだった。道路に民間人の遺体がいくつも横たわっているとは思ってもみなかった」