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米、半導体製造装置巡る対中輸出規制を大幅拡大へ
バイデン米政権は7日、半導体製造装置の対中輸出規制の適用対象を大幅に拡大する一連の包括的な措置を発表した。8月9日、ホワイトハウスで撮影(2022年 ロイター/Evelyn Hockstein/File Photo)
[8日 ロイター] - バイデン米政権は7日、半導体製造装置の対中輸出規制の適用対象を大幅に拡大する一連の包括的な措置を発表した。これには米国の半導体製造装置を使って世界各地で製造された特定の半導体チップを中国が入手できないようにする措置が含まれた。
商務省はこれまでに半導体製造装置メーカーであるKLA、ラム・リサーチ、アプライド・マテリアルズに文書で輸出制限を通知しており、新たな措置はこれに基づくもの。一部の措置は即時適用されるという。
3社は文書の存在を確認しており、具体的には、14ナノメートル未満のプロセスを用いる先端半導体を製造する中国の工場に半導体製造装置を輸出することが原則禁じられた。
今回の一連の措置は、中国への技術移転に関する米国の政策において、1990年代以降で最大の転換となる可能性がある。措置適用となれば、米国の技術を利用する米国内外の企業による中国の主要工場および半導体設計業者への支援が強制的に打ち切りとなり、中国の半導体製造業が立ち行かなくなる可能性がある。
ワシントンのシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)の技術・サイバーセキュリティ専門家、ジム・ルイス氏は、今回の措置は冷戦最盛期の厳格な規制を想起させるとし、「中国は半導体製造を諦めないだろうが、新たな措置により大幅に遅れる」と述べた。
政府高官は前日、今回の措置の多くは海外企業が中国に先端半導体を販売したり、中国企業に対し独自の先端半導体の製造が可能な装置を提供したりすることを防ぐのが目的とする一方、同盟国が同様の措置を実施するという確約を取り付けたわけではなく、引き続き協議していると語った。
一方、ある当局者は「われわれが実施している一方的な規制は、他の国々が参加しなければ、時間とともに効果を失うと認識している」とし、「また、海外の競争相手が同様の規制を受けなければ、米国の技術的なリーダーシップを損なう危険性がある」とした。
アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の国防政策専門家、エリック・セイヤーズ氏は、今回の措置は単に競争の場を公平にしようとする動きではなく、中国の進歩を阻もうとするバイデン政権による新たな動きを反映しているとした。
今回の措置を受け、半導体製造装置メーカーの株価が下落した。
米半導体工業会(SIA)は、発表された規制措置を精査しているとした上で、米政府に「公正な競争環境確保に向け、規制を対象を絞った形で、かつ国際パートナーと連携して実施」するよう要望した。
米当局は米国および同盟国の企業に対し新たな措置の免除が認められるライセンスも提供しており、韓国の半導体メモリー生産大手SKハイニックスは中国工場の操業継続に向けてライセンスを申請した。
中国外務省報道官は8日の会見で、米の新たな輸出規制は貿易措置の乱用で、米の「技術覇権」を強化するのが目的だと指摘した。
韓国産業通商資源省は8日発表した声明で、米の規制措置がサムスン電子やSKハイニックスの中国での半導体製造向けの設備供給に大きな混乱をもたらすことはないとの見解を示したが、米輸出管理当局との協議を通じて不確実性を最小限にする必要があると述べた。
台湾経済部は8日、「台湾の半導体産業は長年にわたり世界の顧客にサービスを提供しており、法律の遵守を非常に重視している。台湾の法令遵守のみならず、海外顧客のニーズや規範にも協力する」とする声明を発表。引き続きメーカーと緊密に連絡を取り合い、各社が工場拡張のために投資したり技術発展に向け世界に製品を供給するのを支援していくと述べた。