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アングル:アジアのインフレ対応、欧米と異なり供給面軸に 現時点では奏功

アジアの各国政府はインフレ抑制で欧米諸国と異なる対応を取っている。輸出禁止や価格統制など的を絞ったやり方が特徴で、この戦略は少なくとも今のところは功を奏しているようだ。写真はインド・ムンバイの市場で果物を売る人。2017年12月撮影(2022年 ロイター/Shailesh Andrade)
[26日 ロイター] - アジアの各国政府はインフレ抑制で欧米諸国と異なる対応を取っている。輸出禁止や価格統制など的を絞ったやり方が特徴で、この戦略は少なくとも今のところは功を奏しているようだ。
アジアでもインフレが依然として深刻な問題だが、多くの国ではこうした対策が物価上昇から国民を守る役割を果たしており、域内のほとんどの中央銀行は他地域ほど迅速な利上げの必要性に迫られていない。
さまざまな取り組みにより、コスト負担の一部は消費者や中小企業から政府のバランスシートに大きく移転されている。
インドネシアの菓子メーカー、マヨラ・インダの投資広報担当者は「購買力の低下は見られない」と説明。同社は昨年後半から価格調整を行っているが、ビジネスに大きな打撃はないという。
同国は先週、エネルギーコスト抑制のためエネルギー補助金を240億ドル拡大。パーム油の輸出禁止措置は解除したばかりだ。インフレ率は中銀目標の2─4%に収まっている。
韓国では、サムスン電子や現代自動車などのグローバルメーカーにとって政府が定めた電気料金上限が競争力確保につながっており、家計の可処分所得への打撃緩和にも役立っている。ただ、この措置は韓国電力公社の経営を圧迫している。
インドは今月、小麦の輸出を禁止。熱波のため生産量が減少し、国内価格が過去最高を記録したためだ。
今週にはマレーシアが、6月以降価格が安定するまで毎月360万羽のニワトリ輸出を停止すると発表。燃料と食用油の補助金制度も実施している。
このような供給面の介入は、物価上昇に対する国民の反発に敏感な多くのアジア諸国政府にとって目新しいことではない。
<圧迫感>
これとは対照的に、欧米の政府は食料や燃料などの価格引き下げのため生産面で介入することには消極的だ。米国と英国のインフレ率は10年ぶりの高水準に達し、小売業の利益と消費者の購買力を圧迫している。
欧米の物価抑制はほとんどが金融政策によって担われている一方、東南アジアでは大部分の中銀が極端な低金利からの脱却を最近になってようやく慎重に開始、欧米よりも緩やかな引き締めが予想されている。
タイでは総合インフレ率が中銀目標(1─3%)を超えたばかり。中銀総裁は景気回復のために金融支援の継続を約束している。しかし、そのような見通しの一方で多くの小売業者は、顧客が値上げを受け入れないため、依然として圧迫感を感じている。
生鮮果実輸出を手掛けるチョタッカラサップ社のラダバディー・ラタナチャイウチュコーン社長は出荷ピーク時期となっているドリアンについて、「コスト高のためほとんど利益が出ていない。新規注文については価格を引き上げなければ生き残れない」と嘆いた。
(Stefanno Sulaiman記者、Orathai Sriring記者)