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NZ中銀、政策金利据え置き 2022年の利上げ示唆
5月26日、ニュージーランド準備銀行は政策金利のオフィシャルキャッシュレートを0.25%に据え置いた。ウェリントンで2017年撮影(2021年 ロイター/David Gray)
[ウェリントン 26日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は26日、政策決定会合を開き、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を予想通り過去最低の0.25%に据え置いた。ただ、来年9月までの利上げを予想し、外為市場ではNZドルが3カ月ぶりの高値圏に上昇した。
中銀は、2022年9月までに25ベーシスポイント(bp)の利上げを少なくとも1度行い、政策金利は0.5%になると予想。2023年末までには1.5%に達するとの見通しを示した。2024年末までには1.78%に達する見通し。最近の好調な経済指標を背景に利上げ時期が早まるとの市場の見方が裏付けられた。
中銀の発表を受けて、NZドルは一時1%高の1NZドル=0.7308米ドルまで上昇、2月26日以来の高値水準を付けた。
資産買い入れの規模は1000億NZドル(721億8000万米ドル)で維持。ただし、2022年6月の期日までに買い入れ額が1000億NZドルに達しない可能性があることも認めた。
借り入れコスト低下を促す資金供給プログラム(FLP)も据え置いた。
会見した中銀のオア総裁は、政策運営ではさらに忍耐が必要だと指摘。OCRの予測には、国内経済が予想通りに推移するという「非常に厳しい条件」が付いていると述べた。
総裁は「われわれは来年下期の話をしている。その時までに私たちがどのような状況になっているのか、誰が分かるだろうか」と述べた。
ANZのチーフエコノミスト、シャロン・ツェルナー氏は「中銀は、下振れリスクや課題を踏まえ、依然として現在の強力な刺激策が必要だと認識しているが、(そうした政策は)もはや無期限ではない」と述べた。
オア総裁は「ワクチン接種が世界で進展していることを踏まえ、公衆衛生に関する極端にネガティブなシナリオは減っており、先行きに対する自信が増している」と発言した。
シティバンクは、経済は引き続き回復基調にあるが、ワクチン接種、国境閉鎖、ロックダウン(都市封鎖)など、新型コロナウイルスの流行を巡る現在の不透明感が、来年まで続く可能性があると指摘。
「このため、2022年下期の利上げには依然としてリスクがある。われわれの基本シナリオは依然として2023年第1・四半期の利上げだ」と述べた。
ニュージーランドは新型コロナウイルス対応に比較的成功を収めており、経済はすでに再開。オーストラリアと「トラベルバブル(隔離措置なしの相互往来)」も実現させ、雇用や消費支出が好調だ。乳製品などの主要コモディティーの価格上昇も、経済成長を下支えしている。
ただ中銀は、国内の景気回復はなおまだら模様と認識。インフレと雇用の目標を達成するまでは利上げを急がない姿勢を強調している。
この日の理事会の議事要旨では「政策金利は中期的には上昇していくと予想しているが、経済見通しがおおむね想定通りに推移することが前提になる」とした。
議事要旨によると、理事会メンバーは、インフレと雇用の目標達成を確信するまで現在の政策を維持することを望んでおり、「これらの要件を満たすにはかなりの時間と忍耐が必要との認識で一致した」。
金融市場では早ければ来年8月の利上げ開始も織り込まれているが、NZ中銀は単独で政策を引き締めてNZドルの急騰リスクを招くことには慎重な可能性があり、他中銀の対応に左右される部分も大きい。
キャピタル・エコノミクスのマルセル・ティリアント氏はリポートで「NZ中銀は先進国で最初に利上げする中銀の1つとなる公算で、NZドルは対米ドルで上昇を続けるだろう」との見方を示した。
ASBのエコノミスト、ナサニエル・キール氏は「トーンに変化の兆候がある。中銀は、追加利下げへの前向きな姿勢を示唆する文言を削除しており、先行きの金利見通しを久しぶりに公表した」と指摘。「当社は引き続き、政策金利は2022年8月後半まで据え置かれると予想する。8月にコロナ禍後初の利上げが行われるだろう」と語った。
オア総裁は、歴史的な低金利で住宅価格が高騰していることについて「住宅価格は近く大幅に鈍化するだろう」と発言。新たな対策により、最終的には、四半期ベースの住宅価格の上昇率がゼロ付近になる可能性があると述べた。