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EU、米抜きでもデジタル税導入へ 仏は「挑発」と撤退批判

2020年06月19日(金)00時37分

 6月18日、フランスのルメール経済・財務相は、米政府がデジタルサービス税を巡る交渉に復帰しようがしまいが年内に税を導入すると表明した。写真はパリで17日撮影(2020年 ロイター/GONZALO FUENTES)

[パリ/ブリュッセル 18日 ロイター] - フランスのルメール経済・財務相は18日、米政府がデジタルサービス税を巡る交渉に復帰するかどうかにかわわらず、年内に税を導入すると表明した。米国が欧州連合(EU)との交渉から撤退する方針を示したことについて「挑発行為」だと述べた。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は17日、デジタルサービス税を巡るEUとの交渉で進展が見られないため、ムニューシン米財務長官は交渉からの撤退を決めたと明らかにした。

デジタル新税を制定した欧州諸国の一つであるフランスは税の徴収を一時停止することで合意する一方、経済協力開発機構(OECD)では世界的なアプローチについて協議が進められていた。

ルメール経済・財務相によると、交渉からの撤退を表明したムニューシン長官の書簡に対し、フランス、スペイン、英国、イタリアが18日に共同で対応。各国はできるだけ早期にOECDで合意することを望んでいる。

スペイン政府の報道官は、デジタルサービス税を巡る「他国からのいかなるタイプの脅し」も欧州諸国は受け入れないと述べた。

欧州委員会のジェンティローニ委員(経済担当)は法人税制へのグローバルな解決を望むとしたが、「年内に不可能な場合は欧州連合(EU)レベルでの新たな提案を行うと明確にしている」と述べた。

ルメール経済相は国内ラジオ局で「この書簡はOECDの全てのパートナーに対する挑発行為だ。大手デジタル企業への課税を巡っては、合意まであと数センチメートルのところまで来ていた」と述べた。

その上で、OECDで合意に至るために米国が交渉のテーブルに戻ろうが戻るまいが、フランスはデジタルサービス税を年内に導入すると指摘。「欧州の4億5000万人の顧客を持つデジタル大企業が税金を払わないことは受けれられない」と述べた。

米政府は報復関税をちらつかせている。

英財務省の報道官は、グローバルな解決策を見出すことに引き続きコミットしていると述べた。

フランスでは、国内の売上高2500万ユーロ、全世界で7億5000万ユーロ以上のデジタルサービス企業に対し、フランス国内の売上高に対し3%課税している。

こうした中、ドイツ財務省はデジタル税を巡る米国との交渉を手助けしたいと表明。「交渉の過程で共に明確にすべき点があり、こうしたことに取り組んでいる。引き続き関係各所と緊密に協力していく」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
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