ニュース速報

ワールド

コロナ発症のがん患者、抗マラリア薬・抗菌薬併用で死亡リスク増加

2020年05月29日(金)08時19分

米国の研究者グループは28日、新型コロナウイルス感染症のがん患者の治療に抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」と抗菌薬「アジスロマイシン」を併用する場合、一方の薬を単体で使う場合と比べて30日以内に死亡する確率が3倍に増えるとする暫定の研究結果を明らかにした。写真はヒドロキシクロロキン。5月27日、ユタ州プロボの調剤薬局で撮影(2020年 ロイター/George Frey)

[シカゴ 28日 ロイター] - 米国の研究者グループは28日、新型コロナウイルス感染症のがん患者の治療に抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」と抗菌薬「アジスロマイシン」を併用する場合、一方の薬を単体で使う場合と比べて30日以内に死亡する確率が3倍に増えるとする暫定の研究結果を明らかにした。

トランプ米大統領は3月時点で、この2つの薬の併用は「医薬品の歴史上で最大のゲームチェンジャーの一つとなる」とツイート。40人弱の試験データをもとに、新型コロナ感染症への併用療法を推奨していた。

2つの薬の併用は当初、新型コロナ感染症の治療に有効と考えられていたが、最近のデータではその有効性が疑問視されている。

研究を行ったバンダービルト大学(テネシー州)のワーナー医師は記者団に対し、「2つの薬の併用で、がん患者の死亡リスクは3倍に増える」と指摘。2つの薬の単体使用あるいは併用のリスクと効果を明確にするには慎重な臨床試験が必要だと述べた。

研究の暫定結果は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が今週開く会合で公表される。

ASCOのバリス会長は会見で「ヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンの併用療法は死亡リスクの増加に強く関連している」と語った。

ワーナー医師らは、3月から4月に新型コロナに感染したがん患者925人のデータを分析。180人にヒドロキシクロロキンとアジスロマイシンを併用し、90人にヒドロキシクロロキンだけを投与した。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中