ニュース速報

ワールド

英国EU離脱で市場は大荒れ、キャメロン首相「辞任の意向」

2016年06月24日(金)20時33分

 6月23日、英国で、欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が行われた。離脱派の独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首はEU残留になるもようとの見方を示した。(2016年 ロイター/Neil Hall)

[ロンドン 24日 ロイター] - 英国で23日に行われた欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は、開票が100%終了した時点の得票率が、離脱派が約52%、残留派が約48%となり、離脱派の勝利に終わった。英国の先行き不透明感が強まり、第二次世界大戦後の欧州統合の動きにブレーキがかかった。

キャメロン英首相は、首相官邸前で記者団に対して、10月までに辞任する意向を示した。

世界の金融市場は、2008年の経済危機以来の大きな衝撃に、大荒れとなっている。ポンドは対ドルで10%超安と、1日の下落幅として史上最大を記録。31年ぶりの安値に沈んでいる。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、格付け大手S&Pの幹部は、英国の最上位トリプルA格付けはこれ以上維持できないとの見方を示した。

ユーロ相場も対ドルで3%超下落した。一方、投資マネーは金など相対的に安全性が高いとされる資産に殺到、円は急伸している。

英中央銀行は24日、国民投票の結果を受けて声明を発表し、金融の安定確保にあらゆる必要な措置を講じると表明した。世界の政策当局者も市場の安定支持を図る姿勢を示しており、麻生太郎財務相は24日午後、緊急の記者会見を開き「足元の為替市場では極めて神経質な動きがみられる」と指摘、「必要な時にはしっかり対応する」と語った。

<『独立記念日』>

英国は今後、少なくとも2年間を費やして、EUと離脱に向けた交渉を行うことになる。ロンドンが誇る世界の金融センターとしての立場も揺らぐのは必至だ。

離脱派のファラージ独立党(UKIP)党首は「英国独立に向けた夜明けは近い」と表明。「普通の人々の勝利だ。6月23日は、われわれの独立記念日として歴史に残ることになるだろう」と語った。キャメロン首相に対しては即刻辞任するよう要求した。

<英国分裂の危機>

英国は分裂の危機に直面している。スコットランドでは62%が残留を支持しており、独立の是非を問う住民投票再実施を求める声が強まりそうだ。スコットランドのスタージョン行政府首相は「スコットランドの人々はEUの一部であり続ける意思を明確に示した」と述べた。

北アイルランドの最大のアイルランドナショナリズム政党、シン・フェイン党は、英国からの独立の是非をめぐる投票機運が盛り上がる、との認識を示した。

離脱となった英国民投票の結果を受けて、EU加盟国の一部では、ポピュリズム政党や反移民政党から自国でもEU離脱の是非を問う投票を行うべきとの声が上がり、EUは存亡の危機にさらされている。

フランスの極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ル・ペン党首は、英国のEU離脱について「自由の勝利」だとして歓迎。さらに、オランダの極右政党である自由党のヘルト・ウィルダース党首は「われわれは、自身の国、資金、境界、そして移民政策を管理したい」とし、オランダでもEU離脱の是非を問う国民と表を実施すべき、と述べた。

*写真を更新しました。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

戒厳令騒動で「コリアディスカウント」一段と、韓国投

ビジネス

JAM、25年春闘で過去最大のベア要求へ 月額1万

ワールド

ウクライナ終戦へ領土割譲やNATO加盟断念、トラン

ビジネス

日経平均は小幅に3日続伸、小売関連が堅調 円安も支
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    【クイズ】核戦争が起きたときに世界で1番「飢えない国」はどこ?
  • 4
    JO1が表紙を飾る『ニューズウィーク日本版12月10日号…
  • 5
    混乱続く兵庫県知事選、結局SNSが「真実」を映したの…
  • 6
    【クイズ】世界で1番「IQ(知能指数)が高い国」はど…
  • 7
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計…
  • 8
    健康を保つための「食べ物」や「食べ方」はあります…
  • 9
    韓国ユン大統領、突然の戒厳令発表 国会が解除要求…
  • 10
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 5
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 6
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや…
  • 7
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説な…
  • 10
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中