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スイス中銀、為替介入進める見込み デフレとフラン高で
4月8日、スイス中銀は通貨高とデフレに対応するため、安定したペースで為替介入を続ける必要があると予想されている。写真は1000フラン紙幣。2月16日撮影。(2016年 ロイター/Ruben Sprich)
[チューリヒ 8日 ロイター] - スイス国立銀行(SNB、中央銀行)はスイスフランが「著しく割高」な水準にとどまっているとみており、インフレ率をプラス圏に押し上げ、経済を下支えするためには、安定したペースで為替介入を続ける必要があるかもしれない。エコノミストらがこうした見解を示した。
フランの値上がりを抑制するためのSNBの戦略は、為替介入とマイナス金利の2本柱から成り立っている。フラン上昇は輸出けん引型のスイス経済の力を削ぐ。
フラン安は輸入価格を押し上げデフレ圧力を和らげる。輸出競争力も強まる。
この日発表された3月の消費者物価指数(CPI)は前年比で0.9%下落し、失業率は季節調整済みで3.5%に悪化した。
CPIは前年比で2014年10月以来、毎月下落している。今年も下落し続けると見込まれる。SNBは17年に0.1%上昇へと回復するとの見通しを示している。
スイスフランは過去8カ月間、概ねユーロに対して1.08─1.10フランの狭い取引レンジで推移してきた。一方、ユーロはドルに対して昨年11月以降、値上がりしている。フランは今週、1ユーロ=1.09スイスフランを下回り、一部のエコノミストはSNBが動くのではないかとみている。
ただ3月のロイター調査によると、市場はさらなる利下げは見込んでいない。代わりにSNBは介入の動きを強めるとみられている。
SNBは昨年1月、スイスフランの対ユーロ相場に設けていた上限を撤廃したが、期待されたような緩やかなフランの下落は実現せず、SNBは軟調な経済を刺激したくてもできないでいる。
コメルツ銀行のアナリストらは投資家向けのメモで「ユーロが他の通貨に対して値上がりしている時でも、(フラン売りユーロ買いの)介入をしなければならないのであれば、SNBのバランスシートは膨れ上がって将来、介入の抑制を強いられることになりかねない」とした。
SNBはフラン高阻止のために15年に860億フラン相当の外貨を買い入れた。結果としてSNBのバランスシートはスイスのGDPにほぼ相当するほどに膨れ上がった。
SNBはバランスシートの拡大に上限はないとしているが、GDPを大幅に上回れば経済にひずみが生じるとエコノミストらはみる。バランスシートをめぐる政治的圧力も増してきた。
ロイター調査に参加するエコノミストらは、SNBはバランスシートを昨年末の6400億フランから極端に拡大させることに消極的とみている。さらなる拡大余地は平均で2250億フランと予想されている。