高い緊張感で市場注視、見通し実現の確度高まれば緩和度調整=氷見野日銀副総裁
8月28日、日銀の氷見野良三副総裁(写真)は、金融資本市場に関して引き続き不安定な状況にあり、当面はその動向をきわめて高い緊張感を持って注視していく必要があると述べた。写真は都内で昨年6月撮影(2024 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Takahiko Wada
[甲府市 28日 ロイター] - 日銀の氷見野良三副総裁は28日、金融資本市場に関して引き続き不安定な状況にあり、当面はその動向をきわめて高い緊張感を持って注視していく必要があると述べた。その上で、市場動向がもたらす影響や7月の利上げの影響を見極めつつ「経済・物価の見通しが実現する確度が高まっていくということであれば、金融緩和の度合いを調整していくというのが基本的な姿勢だ」と語った。
山梨県甲府市で開いた金融経済懇談会であいさつした。金融市場の動揺を受けた金融政策運営のあり方について、氷見野副総裁の発言は23日に植田和男総裁が衆参両院の閉会中審査で示したスタンスに沿ったものとなった。
氷見野副総裁は内外の金融資本市場の動向が、経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響をしっかり見極めていくとも述べた。
足元の円安修正については「輸入物価を通じた物価の上振れリスクがその分小さくなり、ひいては家計消費の先行きにもプラスに働きうるかもしれない」としたほか、多くの中小企業にとっては、円安に伴うコスト上昇圧力が「いくらか和らぐ面があるのではないか」と話した。
株価の動向については、心理的な影響にも注意が必要だが「自己変革を重ねてきた日本企業の強みは依然健在であり、相場の目先の動きに見方を左右されすぎないことが大切だ」と語った。
銀行の保有株式はかなり減ってきており、「現時点では全体としてみれば健全性に大きく影響が及ぶとはみていない」と指摘した。ただ、株高・円安が持続するとの「目算」が外れる格好となった海外の投資ファンドを経由してリスクが波及してこないかなど、よくモニターしていきたいと話した。