ニュース速報
ビジネス

トランプ関税、独GDPを少なくとも1.2%押し下げ=経済研究所

2024年03月04日(月)17時59分

3月4日、 ドイツ経済研究所(IW)は4日、今年の米大統領選でトランプ前大統領が返り咲き、提案通り輸入関税を引き上げれば、ドイツの国内総生産(GDP)が2028年までに少なくとも1.2%縮小するとの見通しを示した。ベルリンで2020年12月撮影(2024年 ロイター/Michele Tantussi)

Sarah Marsh

[ベルリン 4日 ロイター] - ドイツ経済研究所(IW)は4日、今年の米大統領選でトランプ前大統領が返り咲き、提案通り輸入関税を引き上げれば、ドイツの国内総生産(GDP)が2028年までに少なくとも1.2%縮小するとの見通しを示した。

トランプ氏は全ての輸入品に10%の関税をかけることを提案。中国からの輸入品については関税を40%ポイント引き上げ60%にすると主張している。

IWによると、この関税が実現した場合、米国では当初の数年間、消費者物価の上昇や失業増大などが消費を圧迫するほか、信頼感が揺らぎ投資に短期的な悪影響が出る結果、GDPが一時的に1─1.4%押し下げられる見通し。

ただ、貿易・財政収支の改善により、米GDPは28年には小幅なマイナスにまで回復するという。

一方で欧州、特に輸出依存度の高いドイツなどは、はるかに深刻な影響を受ける。ドイツのGDPは輸出の減少とその後の民間投資の落ち込みで28年までに1.2%減少するとみられる。

中国が対抗措置を打ち出し、自国の輸入関税を40%ポイント引き上げれば、ドイツのGDPは最大1.4%減少する可能性がある。

IWは「欧州連合(EU)はそうしたシナリオへの準備を今進めるべきだ。バイデン米大統領の残りの任期を利用して米国との通商関係をさらに強固にする必要がある」と指摘。

具体的には、米EU貿易技術評議会の制度化、重要鉱物協定の締結、グリーン・スチールやグリーン・アルミニウムの貿易に関する協定の締結を挙げた。

次にEUがオーストラリア、南米南部共同市場(メルコスル)、インドネシア、インドなどのパートナーともさらに自由貿易協定を結ぶ必要があると指摘。「トランプ氏が当選し、EUに対する新たな貿易障壁を設けると脅した場合、EUは対抗できなければならない」とし、信頼できる報復措置の導入を表明する必要があるとしている。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本大型株ファンド立ち上げへ、5000億円規模目指

ビジネス

トヨタ、認証不正の3車種の生産再開を延期 台風の影

ワールド

南ア大統領「対中貿易赤字の縮小望む」、習主席と会談

ワールド

プーチン氏、ウクライナ東部で「1日数平方キロ制圧」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つの共通点
  • 3
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?...男女による違いも判明【最新研究】
  • 4
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 5
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 6
    カミラ女王やメーガン妃も...王室メンバー「カーテシ…
  • 7
    キャサリン妃の「極上エレガンス」が話題に...「これ…
  • 8
    世界最高レベルの住宅街を舞う大量のインコ
  • 9
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 3
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじい攻撃」で燃え続けるロシアの弾薬庫を捉えた映像が話題に
  • 4
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 5
    「ローカリズムをグローバルにという点で、Number_i…
  • 6
    Number_iの3人は「めっちゃバランスがいい」──デビュ…
  • 7
    無数のハムスターが飛行機内で「大脱走」...ハムパニ…
  • 8
    小池都知事は「震災時の朝鮮人虐殺」を認める「メッ…
  • 9
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 10
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中