ニュース速報
ビジネス
アングル:中国不動産業界の資金繰り悪化、当局の対応求める圧力強まる

8月14日、中国最大手の民営不動産開発会社、碧桂園がオンショア私募債の償還延期を初めて要請し、不動産業界の資金難を示す新たな兆候となった。上海で8月9日撮影(2023年 ロイター/Aly Song)
[香港/北京 14日 ロイター] - 中国最大手の民営不動産開発会社、碧桂園がオンショア私募債の償還延期を初めて要請し、不動産業界の資金難を示す新たな兆候となった。当局の対応を求める圧力が高まっている。
かつて財務的に健全と考えられていた同社の苦境は、住宅購入者や金融会社にも影響を与える可能性があり、当局の支援が近いうちに実現しなければ、より多くの民営デベロッパーが転換点に近づくことになる。
中国不動産セクターは2021年後半以降、売り上げの落ち込み、流動性の逼迫、一連のデベロッパーのデフォルト(債務不履行)に見舞われており、中国恒大集団が債務危機の中心となっている。
投資家心理に新たな打撃を与える動きとして、中国の上場企業2社が週末、満期を迎えた投資商品の返済を中融国際信託から受けていないと発表した。
「シャドーバンク(影の銀行)」である信託会社は銀行を管理する多くの規制の外で運営され、銀行が販売する資産運用商品の代金を、銀行から直接資金を調達できないデベロッパーなどに流している。
中国の影の銀行は3兆ドル規模で、デベロッパーへの過大なエクスポージャーに関する懸念は昨年から高まっており、アナリストらは不動産セクターと強い結びつきを持つ信託会社の債務不履行が増加すれば、中国経済にさらなる重圧がかかると警告している。
米金融大手JPモルガンは14日のリサーチノートで、信託のデフォルトが増えた場合は中国の経済成長を直接0.3─0.4%ポイント引き下げる可能性があると警告した。
野村は別のノートで「明らかな金融リスクとその伝播に加え、ウェルスマネジメント会社による信託関連商品デフォルトの新たな波は、資産効果を通じて、より広範な経済へ幾分大きな波及効果を引き起こしそうだ」とした。
<重大局面>
関係筋によると、碧桂園は債権者に対し、9月2日に満期を迎えるオンショア私募債(残高39億元)の償還を7回に分けて3年延期するよう求めた。
同社はコメントを控えた。
同社の株価は14日に18.4%安。今月これまでに50%下落している。
キングストン証券のエグゼクティブディレクター、ディッキー・ウォン氏は、不動産セクターが中国経済に与える影響は「重大な局面」に達しており、規制当局は金利や預金準備率のさらなる引き下げを含む追加策を講じるべきと述べた。
(Clare Jim記者、Shuyan Wang記者、取材協力:Yuhan Lin in Beijing and Hongwei Li in Shanghai)