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AIIB、「中国共産党が支配」との主張に反論 疑問の声も

アジアインフラ投資銀行(AIIB)のグローバル広報責任者だったカナダ人のボブ・ピカード氏がAIIBは「中国共産党に支配されている」と批判して辞任した問題で、AIIBは7日、ピカード氏の主張を裏付ける証拠は見つからなかったとの内部調査結果を公表した。写真は北京のAIIB本部前で2020年7月撮影(2023年 ロイター/Tingshu Wang)
[北京 7日 ロイター] - アジアインフラ投資銀行(AIIB)のグローバル広報責任者だったカナダ人のボブ・ピカード氏がAIIBは「中国共産党に支配されている」と批判して辞任した問題で、AIIBは7日、ピカード氏の主張を裏付ける証拠は見つからなかったとの内部調査結果を公表した。
同氏は6月、AIIBが共産党員に支配され、「有害な文化」が生まれているとしてツイッターで辞任を表明。AIIBは当時、根拠のない主張だと反論していた。
AIIBは世界銀行など西側主導の機関に代わる多国籍金融機関として中国の習近平国家主席が2016年に設立。カナダなど106カ国が加盟している。ピカード氏の主張については、カナダも独自調査を開始した。
AIIBは「AIIBのガバナンス構造が、非政治的、建設的で均衡の取れた、コンセンサス重視の意思決定文化を育むため、意図した通りに機能していることが内部調査で確認された」と表明した。
また政党に所属していることが職務の遂行に支障をきたしたという証拠はなかったと主張した。
ピカード氏が他の職員について共産党に所属していると言及したのは1件のみだったとし、これは別の職員とのインスタントメッセージのやり取りで、ある職員の能力を疑問視したものだったと説明した。
「ガバナンスや方針、戦略の議論や決定に政治的な影響が及んだという疑惑はこれまで1度もない」と結論付けた。
AIIBの金立群総裁は今年、AIIBが政治的な争いに巻き込まれることはないと発言した。
ピカード氏はロイターのコメントの要請に応じ「報告書は不誠実で不正確だ。AIIBにおける共産党の影響力という核心的な懸念を真剣に調査したとは思わない」と話した。
金総裁にこうした懸念を伝えたところ、金氏は「(ピカード氏を)保守派からかばったために党の急進派から攻撃されている」と述べたという。
ピカード氏は報告書について「検証可能な誤りも含まれている」と指摘。カナダ国民としての身の安全について懸念を表明した電子メールに触れていないことがその一つと語った。
一方、AIIBのダニー・アレクサンダー副総裁はロイターのインタビューで、ピカード氏の主張は根拠がないと指摘した。
AIIBの中国政府との関係を問われると「ステークホルダーとして中国とは直接関係がある。それは英国やカナダも同じだ」と述べ「カナダをAIIBの重要なメンバーだと考えている。カナダの独自調査の結果を楽しみにしており、末永く協力したいと考えている」とした。
カナダ政府はコメント要請に応じ、「カナダ財務省は、今回提起された疑惑とAIIBへのカナダの関与について、ただちに調査を実施している。この調査は継続中だ」とした。