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昨年のESG債発行、アジアで好調 世界的に減少でも

1月13日、昨年の世界のESG(環境・社会・企業統治)債の発行は落ち込んだものの、アジアでは地元の強い需要に支えられて好調だった。写真は甘粛省敦煌市近郊の発電所。2021年4月撮影(2023年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)
[13日 ロイター] - 昨年の世界のESG(環境・社会・企業統治)債の発行は落ち込んだものの、アジアでは地元の強い需要に支えられて好調だった。銀行関係者は、今年もアジアで脱炭素の動きが続くことからESG債の活況が続くと見込んでいる。
リフィニティブのデータによると、ESG債の発行額は昨年、アジア太平洋地域で1420億ドルとなり、過去最高だった前年の1440億ドルに迫る高水準だった。欧州と米国で発行総額が30%以上減少したのとは対照的だ。
市場参加者によると、アジアにおける昨年のESG債発行はエネルギー網のグリーン化という目標と、発行額トップの中国における元建て金利の低さに支えられた。
バークレイズのアジア太平洋地域サステナブル資本市場担当のAtul Jhavar氏は、「現地通貨建てによる発行増が、クロスボーダー市場での落ち込みを補った」と指摘。特に人民元建てなどで、ESG関連債が大量に発行されたという。
中国の事業体の昨年のESG債発行額はアジア太平洋地域の59.3%を占め、総収益は840億ドルと前年の800億ドルから約6%増加した。
中国の金利が、インフレに見舞われた欧米よりも低く、安定的に推移したことが発行体に恩恵となった。
韓国は昨年200億ドルのESG債を発行し、発行額はアジアで2位だった。フィリピンの発行額は2倍以上増え、約80億ドルに達した。
BNPパリバ・アセット・マネジメントのシニアESGアナリストであるXuan Sheng Ou Yong氏は「保険会社、政府系ファンド、年金基金など、国内の買い手が需要を生んだ」と指摘。アジアの国内資本市場は現在ではかなり厚みがあるため、現地通貨建て債に対する需要は一貫して強いと述べた。
アナリストによれば、欧州に比べてアジアのESG債市場は小さく成熟していないものの、2030年までに風力発電と太陽光発電の能力をほぼ倍増させるという中国の公約など、アジアでは環境関連の公約を果たすための大規模な資金調達が必要になる見込みだ。