ニュース速報

ビジネス

7月ロイター企業調査:望ましい次期日銀総裁、中曽・浅川・雨宮氏で割れる

2022年07月14日(木)10時02分

 7月のロイター企業調査によると、来年4月8日に任期を迎える日銀の黒田東彦総裁の後任として望ましいのは、中曽宏大和総研理事長(前副総裁)と浅川雅嗣アジア開発銀行総裁(元財務官)との回答がそれぞれ2割弱となった。都内の日銀本店前で2020年5月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 14日 ロイター] - 7月のロイター企業調査によると、来年4月8日に任期を迎える日銀の黒田東彦総裁の後任として望ましいのは、中曽宏大和総研理事長(前副総裁)と浅川雅嗣アジア開発銀行総裁(元財務官)との回答がそれぞれ2割弱となった。雨宮正佳日銀副総裁がこれに続き、黒田総裁の続投との回答も10%に達するなど、意見が分かれた。

調査期間は6月29日から7月8日。発送社数は495、回答社数は227だった。

調査では次期総裁について望ましい人物を選択肢を挙げて聞いた。選択肢以外との回答も3割近くにのぼり、伊藤隆敏・コロンビア大学教授と回答した企業も8%となった。

回答社からは「過度な円安など、国際社会と連携して取り組むべき課題が多く、海外要人との人脈があり、国際金融の知識に長けている中曽氏が望ましい」(窯業)との意見があった。また、浅川氏を選んだ企業の中には、「実務能力に長けている方が望ましい」との指摘があった。

次期日銀総裁にふさわしい資質を企業に聞いたところ、「実務能力に長けている人」との回答が8割を占めた。「国際感覚に優れ、語学が堪能な人」が25%、「アカデミックなバックグラウンドの人」が12%だった。(2つまで選択可)

回答社からは「政府から独立・中立した視点で金融政策を提言・遂行できる人」(ガラス・土石)、「政治に取り込まれない強い信念を持った人」(輸送用機器)など、中銀の独立性を重視する声が聞かれた。また、「食品や生活用品等の幅広い物価水準についても理解できている人」(精密機器)といった声もあった。

「出口戦略まで描ける人」 (情報サービス)など、長期にわたる金融緩和政策の正常化を見据えた人物がふさわしいとの指摘もあった。

<黒田総裁は任期全うすべき>

日銀の黒田総裁は、6月の講演で「家計の値上げ許容度が高まっている」と述べ、世論の強い批判を浴びて発言を撤回した。この発言について、「不適切」との回答が76%で、「適切」の24%の約3倍となった。

また、黒田総裁は「任期を全うすべき」との回答は75%となり、「任期より前に辞任すべき」の25%を大きく上回った。

「(値上げ許容度に関する)コメントのみで任期を判断すべきではないのは明らか」(電機)との意見が寄せられた。また、「実体経済の運営に明るい黒田総裁が継続すべき」(卸売)との見解も示された。

一方、望ましい日銀の物価目標について、「2%(現状維持)」が58%と過半を超え、今年1月調査の32%から増加した。「1%」との回答は10%と、前回の27%から減少した。現状の物価上昇は供給不足によるもので、かつ賃上げを伴うものではないため、変更する必要はないといった指摘が寄せられた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、米相互関税発表受け

ビジネス

米国株式市場=相互関税発表後に先物下落、通常取引は

ビジネス

米金利先物市場、FRB利下げ開始6月の見方強まる

ワールド

トランプ米大統領の相互関税、一律10%に 日本への
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 9
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中