ニュース速報

ビジネス

日本ペイントHD、ウットラムが1.2兆円で出資比率引き上げ

2020年08月21日(金)18時34分

 8月21日、日本ペイントホールディングス(HD)は、シンガポールの塗料大手ウットラムグループの傘下2社に対して1株7970円で第三者割当増資を行うと発表した。写真はシンガポールで2017年11月撮影(2020年 ロイター/Thomas WhiteIllustration)

[東京 21日 ロイター] - 日本ペイントホールディングス(HD)<4612.T>は21日、シンガポールの塗料大手ウットラムグループが持株比率を39.54%から58.69%に引き上げると発表した。日本ペイントHDが実施する第三者割当増資をウットラムが引き受ける。取得金額は約1兆2000億円。両社は、成長が見込めるアジアを中心に世界展開を加速する。

田中正明社長兼CEO(最高経営責任者)は会見で、ウットラムグループを率いるゴー・ハップジン氏とは「同じ方向、同じ夢をみている」と述べた。日本ペイントの経営体制は変わらず、上場も維持される。

田中CEOは、ウットラムグループの出資比率が上がることについて、「買収や子会社化が目的ではなく、さらなる成長を目指すための資本をウットラムグループから調達することの結果」と説明。仮に日本ペイントが公募増資などをした場合、ウットラムグループの保有株比率が低下する可能性があるという点は了承済みだという。

一方、2014年にウットラムグループが株式を保有した際には、保有株を増やさないという契約が存在したが、その契約は今回破棄。ウットラムグループが完全子会社化することも、法律的には可能な状態となる。

日本ペイントHDは調達した資金(実際には譲渡代金支払い請求権)に現金を追加し、総額1兆2851億円でウットラムグループと運営するアジア地域の合弁会社と、同グループのインドネシア子会社を取得する。これにより、ウットラムグループは、全ての塗料事業を日本ペイントに売却することになる。

日本ペイントHDはウットラム傘下の2社に、計1億4870万株を割り当てる。割当価格は1株7970円。日本ペイントHD株は約45%希薄化する。払込期間は2021年1月1日から3月31日。

日本ペイントによると、アジア地域の合弁会社とインドネシア事業を買収することによって、 昨年買収した2社が通年で寄与するとして試算した19年度の数字に比べて、純利益は約6割増、EPS(1株あたり純利益)は10%以上増になるという。

田中CEOは「第3者割当によって資本を増強することができる。今後、さらにM&Aを加速化させる財務基盤の強化にもなる」と述べた。

*会見内容などを加え再構成しました

(清水律子 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中