ニュース速報

ビジネス

米国株上昇、雇用統計予想ほど悪化せず

2020年05月09日(土)06時35分

米国株式市場は主要3指数がそろって上昇。朝方発表の4月の雇用統計は新型コロナウイルス感染拡大を受け雇用者数が大きく減少したものの、予想ほどは悪化しなかった。写真は4月26日、ニューヨーク証券取引所前で撮影(2020年 ロイター/Jeenah Moon)

[8日 ロイター] - 米国株式市場は主要3指数がそろって上昇して終了した。朝方発表の4月の雇用統計は新型コロナウイルス感染拡大を受け雇用者数が大きく減少したものの、予想ほどは悪化しなかった。

この日はS&P500の全11部門がプラス圏で終了。中でもエネルギー株<.SPNY>が4.3%と大きく上昇した。このほか、一部の国内店舗の営業を来週に再開すると発表したアップルが2.4%上昇したことも押し上げ要因となった。

労働省発表の4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月から2050万人減となり、1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以降で最大の落ち込みとなったものの、エコノミスト予想の2200万人減ほどは減少しなかった。また、失業率は14.7%と戦後最悪となったものの、市場予想の16%ほど悪化しなかった。

ヌビーンの最高投資責任者(CIO)、ブライアン・ニック氏は「今回の雇用統計を悲惨以外の何ものでもないと言わざるを得ないのは苦しいが、それでも市場予想と比べると何らかの救いはあった」と指摘。ただ「市場では新型ウイルス感染に関する情報が重要視されており、経済指標は看過される傾向がある」と述べた。

米株式市場は3月終盤以降、新型ウイルス感染拡大に対応するための大規模な金融・財政政策が押し上げ要因となり大きく回復しており、ナスダック総合指数は7日、年初からの下落を解消しプラス圏に浮上。この日は5連騰と、連続での上昇は2019年12月以降で最長となった。

また、米株式市場の投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)<.VIX>は27.98に低下。2月26日以来、初めて30を下回った。

市場は新型ウイルス感染拡大抑制策が緩和され経済活動がどのように再開されていくのか注目。中国の劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表およびムニューシン財務長官が8日に電話協議し、両国が今年初めに署名した第1段階の通商合意について話し合ったと伝わったことも、市場の楽観的なムードに貢献した。

個別銘柄では、配車大手ウーバー・テクノロジーズが6.0%高。7日発表の第1・四半期決算は料理宅配事業が好調で14%増収となった。

石油・天然ガス生産会社ノーブル・エナジーは13.5%高。原油安に対応するために減産を実施すると同時に、設備投資を一段と縮小すると発表したことが買い材料となった。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を4.95対1の比率で上回った。ナスダックでは3.47対1で値上がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は101億株。直近20営業日の平均は114億株。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官が今週ウクライナ訪問、資源アクセスなど協

ワールド

ウクライナ大統領、ロシア西部州との領土引き換え案提

ワールド

メキシコ、米の鉄鋼・アルミ関税「不当」 と反発

ワールド

オープンAI「売り物でない」、マスク氏の買収提案に
MAGAZINE
特集:ガザ所有
特集:ガザ所有
2025年2月18日号(2/12発売)

和平実現のためトランプがぶち上げた驚愕の「リゾート化」計画が現実に?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 2
    2025年2月12日は獅子座の満月「スノームーン」...観察方法や特徴を紹介
  • 3
    iPhoneで初めてポルノアプリが利用可能に...アップルは激怒
  • 4
    世界のパートナーはアメリカから中国に?...USAID凍…
  • 5
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 6
    0.39秒が明暗を分けた...アルペンスキーW杯で五輪メ…
  • 7
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 8
    極めて珍しい「黒いオオカミ」をカメラが捉える...ポ…
  • 9
    便秘が「大腸がんリスク」であるとは、実は証明され…
  • 10
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だった...スーパーエイジャーに学ぶ「長寿体質」
  • 3
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 4
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギ…
  • 5
    戦場に響き渡る叫び声...「尋問映像」で話題の北朝鮮…
  • 6
    Netflixが真面目に宣伝さえすれば...世界一の名作ド…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究 兄弟姉…
  • 9
    メーガン妃の最新インスタグラム動画がアメリカで大…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 9
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中