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焦点:米ネット通販の税徴収可能に、リアルへの恩恵は限定的か
6月21日、米最高裁は判決で州政府がオンライン小売業者に売上税の徴収を義務付けることを認めた。写真はワシントンで11日撮影(2018年 ロイター/Erin Schaff)
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米最高裁は21日の判決で州政府がオンライン小売業者に売上税の徴収を義務付けることを認めた。これまで売上税の徴収を免れてきたオンライン小売りにとっては逆風となる。
ただし、アマゾン・ドット・コム
オンライン小売りは顧客から売上税を徴収せずに済み、それが商品の価格を低く抑えられる要因になっていた。今回の判決は売上税についてオンラインと実店舗の差を解消するもので、一部の専門家からは重要度は先の米税制改革並みとの声も上がっている。
しかし税務や小売業のコンサルタントは、実店舗型の小売り大手が受ける恩恵は小さいとの見方だ。
監査サービスなどを手掛けるRSMのプリンシパル、ブライアン・カーケル氏は「判決で実店舗がオンラインに比べて大きなプラスを得るとは思わない。ウォルマートやターゲットと競合するオンライン小売り大手は、流れを先読みして既に売上税の徴収・納税に踏み切っているからだ」と話す。
例えばアマゾンは自社在庫からの販売と、アマゾンのプラットフォームを利用したサードパーティーの販売の一部について、売上税の徴収を実施済みだ。
ベアード・エクイティ・リサーチも最高裁判決について、アマゾンへの影響は限定的とする分析結果を公表した。
オンライン小売りはアマゾン以外にも、ウェイフェア
オンライン小売りへの売上税徴収義務付けを訴えてきた小売業リーダーズ協会(RILA)の法律顧問、デボラ・ホワイト氏は「判決は小売り業の経営にとって万能薬にはならない」としながらも、実店舗型小売りの競争面での不利が解消されるとの見方を示した。
ただ、投資家などの間からは、オンラインショッピングがもたらした「便利さ」という文化が普及したために、実店舗型小売りは今回の判決から大きな利益を受けにくくなっているとの指摘が出ている。
テーミス・トレーディングの株式トレーダー、マーク・ケプナー氏は「もし10年前にこのような判決が出れば今よりももっと大きな影響があっただろう。今日ではインターネットは小売業の一部に組み込まれている。すぐに変化が起きることはない」と話した。
(Nandita Bose記者)