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インタビュー:クレジット投資、パッシブ比率高めている=ゆうちょ銀副社長
11月16日、ゆうちょ銀行の佐護勝紀副社長(最高投資責任者、CIO)は、「ロイター・グローバル・インベストメント・2018・アウトルック・サミット」で、インハウスチームによる株式のアクティブ運用を近く始める一方、クレジット投資でパッシブ比率を高めていると明らかにした。都内でロイターのインタビューに答える同副社長(2017年 ロイター//Issei Kato)
[東京 17日 ロイター] - ゆうちょ銀行<7182.T>の佐護勝紀副社長(最高投資責任者、CIO)は16日、「ロイター・グローバル・インベストメント・2018・アウトルック・サミット」で、インハウスチームによる株式のアクティブ運用を近く始める一方、クレジット投資でパッシブ比率を高めていると明らかにした。
約210兆円の運用資産を持つ同行は、超低金利環境下で投資収益の向上を目指し、2年前にゴールドマン・サックス証券から加わった佐護氏の下、日本国債中心の運用からの脱却とリスク性資産の積み増しを進めている。概要は以下の通り。
──中間期決算は堅調だった。
「大半は(新体制より)前にやった国際分散投資の貢献で、この2年間懸命にやってきたことが本当に花開くのは数年先のこと。足元の運用環境の厳しさや新規人材採用やシステム投資のコストもあり、Jカーブ効果もあり得る」
「うまくいったことは、米トランプ政権誕生後の金利上昇を受けて米国債投資を再開し、ポジションを積み上げてきたことだ。その中で2─5年の金利が心配だったので9月ごろに結構ヘッジをかけ、長期のものは放っておいた。そこが結果的に金利の底で(イールド)カーブもフラットニングしており、そのポジションが奏功した」
──インハウスチームによる株式アクティブ運用の進捗は。
「年内に始めるつもりだったが、目を着けている株が全然調整せず、買いたい水準に到達しないのでまだ様子見している」
「機関投資家として、本当のアクティブ、つまりESGに適合しないところとは付き合わないようなエンゲージメントをすべきだと考えている。当行も図体は大きいが(株式残高が)2兆円くらいあるうちの一部、数千億円規模のアクティブ運用はできるし、当然やるべきという思いだ」
「ただ、機関投資家たるもの全てアクティブ運用であるべき、などと言うつもりはない。現に、残高の大きいクレジット投資では、アクティブからパッシブへの回帰をやっている。世界中の名だたるアクティブマネジャーに委託したら、結果的にインデックスと大差ないパフォーマンスになった。アクティブできっちりアルファを出せるところは残しつつ、一部をパッシブに切り替えている」
「現在、パッシブになっているのは全体の1─2割。今後もその比率を高める」
「クレジットポートフォリオの中で、残存期間が短くなり、クロスカレンシーベーシスを考えると保有継続が逆ザヤになるものは持つ意味がないのでばっさり外した。時期は主に第1・四半期で、サイズは兆円単位の話だ」
「面白いのは、持つ意味がないものを解約したことでリスクリターンが改善、さらにベーシス市場がその分戻って、継続している部分にもプラスの効果があったこと。国内の他の機関投資家で同様の人がいれば、意味のないものは皆でさっさと売りましょうと言いたい」
──日銀総裁人事について。
「(次期総裁に)誰がなっても、路線は大きく変わらない気がする。金融政策の運営はここまでうまく行っており、それが継続するだろう。微調整はあり得る。(イールドカーブコントロールの)10年債利回りのターゲットがゼロ%である必要はない」
「ETF購入については、リスクプレミアムを減少させるのが狙いなら他にも方法はある。ボラティリティーが上がると、シャープレシオ、リスク調整後リターンが悪くなり、リスクプレミアムは増大する。日銀がアウト・オブ・ザ・マネーのプット売りなどをできるようにして、ダウンサイドのプロテクションを安く市場に供給すれば、ボラは下がってリスクプレミアムは低下、買いたい人には買う機会を与え、日銀の目的も達成される」
──ビットコインについて。
「仮想通貨のバリューはゼロではないと思うが、個人的にはビットコインは良くて100ドルくらいの価値とみる。ITバブルの時はドットコム系の株価が上がったが、少なくともヤフーや楽天のサービスを利用する人が周りにいた。一方、仮想通貨がらみのビジネスをやっている人は知り合いに何人もいるが、売買している人は直接は知らないし、使っている人は見たこともない。その意味ではITバブルよりひどい」
「バブルがどこで止まるか誰にも分からないが、1万ドルくらいで止まるか、CMEが先物を(年内)上場する少し前に最高値をつけるかでは。最近も金融と無関係の友人からある仮想通貨についてアドバイスを求められたが、経験上、その数カ月後にマーケットがおかしくなったりする」
──CMEは先物上場で機関投資家の参入を見込む。
「100ドルになったら当行も検討する。ただ、株もそうだが、こういう値動きのものをショートすることにリスクリターンが見合うタイミングはそうないので、当行は多分やらない。バブルだと思ったら近寄らないのが正しい選択だ」
(インタビュアー:植竹知子、佐野日出之 編集:伊賀大記)