ニュース速報

ビジネス

日銀、景気判断引き上げ・17年度物価を小幅下方修正 政策は現状維持

2017年04月27日(木)13時51分

 4月27日、日銀は26─27日の金融政策決定会合で、長期金利目標をゼロ%程度、短期金利目標をマイナス0.1%とする現状の金融政策の維持を賛成多数で決定した。写真は都内の日銀本店。昨年9月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 27日 ロイター] - 日銀は26─27日の金融政策決定会合で、長期金利目標をゼロ%程度、短期金利目標をマイナス0.1%とする現状の金融政策の維持を賛成多数で決定した。

同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、目標とする物価2%の到達時期を「2018年度頃」に据え置き。景気判断を「緩やかな拡大に転じつつある」に上方修正する一方、2017年度の消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)見通しを小幅下方修正した。

展望リポートでは、実質国内総生産(GDP)見通しの前年比を17年度1.6%増、18年度1.3%増とし、それぞれ前回の1月展望リポートにおける同1.5%増、同1.1%増から上方修正した。初めて公表した19年度は同0.7%増となった。

一方、コアCPI見通しは同1.4%上昇とし、前回の同1.5%上昇から引き下げ、18年度を同1.7%上昇に据え置いた。

19年度は2%の消費税率引き上げの影響(プラス0.5%ポイント)を除き、同1.9%上昇とし、目標とする物価2%の到達時期について「2018年度頃になる可能性が高い」との見通しを維持した。

景気の総括判断は、需給ギャップのプラス転換や好調な輸出・生産を背景に「緩やかな拡大に転じつつある」に上方修正。これまでは「緩やかな回復基調を続けている」となっていた。景気の現状判断で「拡大」との表現を用いるのは2008年3月以来、約9年ぶりとなる。

従来は「持ち直し」としていた輸出と生産の現状判断も「増加基調」に引き上げた。

景気に比べて物価の足取りの鈍さが目立つが、日銀では、需給ギャップの改善やエネルギー価格の上昇に伴って現実の物価が上昇していく中で、中長期的な予想物価上昇率も「2%程度に向けて次第に収れんしていく」と予想。物価の先行きは「賃金の上昇を伴いながら、緩やかに高まっていくという好循環が作用していく」と見込んでいる。

もっとも、海外経済や予想物価上昇率の動向などを背景に、先行きは「経済・物価ともに下振れリスクの方が大きい」と慎重姿勢を維持。2%の物価安定目標に向けたモメンタムは「維持されている」としながらも、「なお力強さに欠ける」とした。

金融政策運営は長短金利目標を据え置くとともに、国債買い入れについて保有残高を年間約80兆円増加させるペースとすることも引き続き明記した。

*内容を追加します。

(伊藤純夫、竹本能文)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P伸び悩み、FOMCに注目

ワールド

ヒズボラの通信機器爆発、米は関与していない=国防総

ビジネス

米利下げ幅、9月0.50% 年内合計1.25%=ダ

ワールド

レバノン通信機爆発、約3000人死傷 ヒズボラはイ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 6
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 7
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 8
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 9
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 10
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 7
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 8
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...試聴した「禁…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 8
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 9
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 10
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中