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世界経済の成長予想引き下げ、英EU離脱で不透明感=IMF

2016年07月20日(水)02時22分

 7月19日、IMFは最新の世界経済見通しで、2016、17年の世界経済の成長見通しを引き下げた。写真はラガルド専務理事、今月1日撮影。(2016年 ロイター/Jacky Naegelen)

[ワシントン 19日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は19日公表した最新の世界経済見通しで、世界全体の成長率の見通しを16年は3.1%、17年は3.4%とし、4月時点の予想からそれぞれ0.1%ポイント下方修正した。日欧の景気や1次産品価格は最近持ち直しつつあるが、英国の欧州連合(EU)離脱決定で「不確実性が大きく増した」とした。

IMFのチーフエコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は声明で、英国が国民投票でEU離脱を決めるまでは「2016-17年の世界経済の成長見通しをやや上方修正する準備をしていた。ブレグジットで予定が狂った」とした。

EU離脱の影響が最も大きいのは英国自身で、IMFは16年の成長率の見通しを4月時点から0.2%ポイント下げて1.7%とした。17年は1.3%で、0.9ポイントの大幅引き下げとなった。

ユーロ圏については16年の見通しをやや上方修正する一方で、17年は0.2%ポイント引き下げ1.4%とした。

IMFは12日発表の米国経済に関する報告書で、ブレグジットの米国への影響は「ごくわずか」とした。

今回の見通しは、英国とEUの今後の交渉がもたらす政治的な影響が限定的な範囲にとどまり、経済的な障壁が大きく拡大する事態が避けられ、さらなる金融市場の混乱が起きないという穏やかなシナリオに基づいている。

IMFは、より「深刻な」シナリオも想定した。英EUの交渉が難航し、金融市場に対するストレスが増し、英国とEUの通商関係は世界貿易機関(WTO)の枠組みに逆戻りし、ロンドンの金融サービス産業の大部分が欧州に移ってしまうというシナリオだ。この場合、英国は景気後退に陥り、世界経済の成長見通しは16、17の両年とも2.8%に鈍化するという。

「下振れシナリオ」とされる中間的な前提では、最も穏やかなケースと比べて金融市場がひっ迫し、消費者の信頼感は低下。英国の金融サービス産業は一部欧州に移る。このシナリオに基づく世界経済の成長率は16年が2.9%、17年が3.1%となる。

オブストフェルド氏は、ブレグジット投票に伴う混乱の後、金融市場が回復したことを踏まえ、穏やかなシナリオを基本にしたと述べた。

IMFの見通し公表に発表した声明で、英財務省の報道担当者は「英国は開放されており、海外投資家にとって魅力的な投資先であるという明確なメッセージを国内外の企業に発信することが、われわれにとっては最優先の課題だ」と指摘。ブレグジットの投票は英経済の「新局面」を刻むものではあるが、英国は世界とつながり続けるとした。

IMFの経済見通しを国別でみると、中国は16年が6.6%でやや上方修正。17年は6.2%に鈍化するとした。

ブラジルとロシアの景気後退は前回予想ほどは深刻でないとされた。原油や1次産品の価格がいくぶん持ち直していることが背景にある。両国とも17年にはプラス成長に復帰する見通しだ。

IMFは各国の当局者に対して、成長の緩慢さを「新たな常識」としてはならないとした。短期的に需要を下支えするほか、中期的な成長に向けた構造改革を進めるべきだとした。

日本については、16年の成長率予想を0.3%とし、前回予想の0.5%から引き下げた。17年は0.1%で、辛うじてプラス成長を維持するとした。来年春に予定されていた消費税増税が延期されたことから、17年は0.4%ポイントの上方修正とする予定だったが、円の値上がりが続いていることから0.2%ポイントの引き上げにとどめたという。

*内容を追加して再送します。

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