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マイナス金利、国債買入れ増額より持続可能=富士通総研・早川氏

2月5日、元日銀理事の早川英男・富士通総研エグゼクティブ・フェローは5日都内で講演し、日銀が1月29日打ち出したマイナス金利政策は、国債買入れの増額よりも持続可能性があると評価した。写真は都内で2013年2月撮影(2016年 ロイター/Shohei Miyano)
[東京 5日 ロイター] - 元日銀理事の早川英男・富士通総研エグゼクティブ・フェローは5日都内で講演し、日銀が1月29日打ち出したマイナス金利政策は、国債買入れの増額よりも持続可能性があると評価した。
早川氏はマイナス金利政策は為替に効果があるとされるため、ドル円120円台では更なる円安・物価上昇による実質賃金の低下を招くため採用しにくかったが、「年初来の円高を受け採用を決めたのではないか」との見方を披露した。
従来の「量的・質的緩和(QQE)」の延長線で、年80兆円(残高)の国債買い入れ額(フローで月10兆円)を増やせば、政策を続けられる期間がかえって短くなると市場に認識されるため、マイナス金利方が「長期間持続できる政策」と述べた。
マイナス金利の副作用について「0.1%程度のマイナス幅ならば副作用は大きくない」との見方を示した。一方、すでにマイナス金利を導入した一部欧州諸国では中小金融機関が個人からも預金手数料を取っている例を挙げた。
1月29日のマイナス金利導入公表から1週間、株高・円安効果ははく落し株・為替はほぼもとの水準に戻ったが、「1週間のマーケット反応によって政策効果を測るべきでない」と弁護した。
2016年度の日本経済は「米利上げによる世界経済混乱と中国のハードランディングがなければ緩やかな回復を続ける」との慎重な見方を示した。年初来の世界的な株安の背景には、米利上げと中国経済の減速懸念があると述べた。
ゼロ%台と低い潜在成長率や企業の慎重な賃上げを背景に「幸か不幸か2%の物価目標は近い将来達成されない」ため、「日銀が大量の国債を買い続け、財政赤字が火を噴くことはない」とし「日本経済はゆでガエル状態が続く」と総括した。
(竹本能文)