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米FOMC始まる、金融政策正常化に踏み切るとの見方大勢

2015年12月16日(水)09時27分

12月15日、米連邦準備理事会(FRB)は2日間の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開始した。8年前の金融危機から立ち直り、正常化しつつある米経済を反映し、FRBは今回のFOMCで利上げに踏み切るとの見方が大勢となっている。写真は2013年7月、ワシントンのFRB(2015年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は15日、2日間の日程で連邦公開市場委員会(FOMC)を開始した。8年前の金融危機から立ち直り、正常化しつつある米経済を反映し、FRBは今回のFOMCで利上げに踏み切るとの見方が大勢となっている。

FRBは東部時間16日午後2時(日本時間17日午前4時)にFOMC声明を発表。その後、イエレンFRB議長が記者会見を行う。FRBは今回は最新の経済見通しも発表する。

市場では、FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現在の水準から25ベーシスポイント引き上げ、0.25─0.50%とするとの見方が大勢となっている。

サマーズ元米財務長官はこの日、自身のウエブサイトに掲載した文書で「これまでにFRBが送ったシグナルの強さを踏まえると、ここにきて行動を起こさなかった場合、(FRBの)信頼が損なわれる」との考えを示した。同氏はこれまで現時点で利上げを実施する必要性に懐疑的な見方を示していた。

ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「米消費者の気分は最高潮に達しており、順風以外の何物でもない。FRBが自信を持つのは当たり前だ」と指摘する。

FRBが実際に利上げに踏み切れば、成長支援に向けた景気刺激策を導入している日銀、欧州中央銀行(ECB)、中国人民銀行(中央銀行)など世界の主要銀行と逆の方向に動くことになる。

ただ、初回の引き締めだけでは米金利水準はなお非常に緩和的な水準にとどまるほか、FRB当局者はこれまでも緩慢な景気回復を支援するためにも第1回目の利上げ後は慎重に対応するとの姿勢を示している。

FRBが今回のFOMCで利上げを決定し、来年も米経済の成長が続き、インフレ率が上昇すれば、政策転換は成功したと証明されることになる。

市場はFOMC声明の一言一句を吟味し、2回目の利上げのタイミングといった今後の金融政策の見通しなどを探ることになる。

TDセキュリティーズのアナリストは声明と経済見通しについて、今後すべてのFOMCで利上げの可能性があることを強調するタカ派的な内容になると予想する。

9月時点では、FRB当局者は来年におそらく4回の利上げがあると見込んでいた。

ただ、全ての意見が利上げに傾いているわけではない。一部のFRB当局者はこれまで、FRBがわが道を大手を振って歩けるほど世界経済が堅調ではないことに懸念を示している。

労働団体は15日、全体的な賃金の伸びは依然としてあまりに脆弱(ぜいじゃく)であり、金融環境の引き締めは正当化できないと表明した。

エコノミック・ポリシー・インスティテュートのリサーチディレクター、ジョシュ・ビベンズ氏は「現在の経済成長ペースが過剰で、初期のインフレのために鈍化させる必要があると考える理由はない」と指摘し、FRBに利上げしないよう求めた。

*内容を追加しました。

ロイター
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