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復興財源確保へ大型上場 日本郵政、時価総額6.1兆円に
9月10日、東京証券取引所は、日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社から申請があった株式上場を正式に承認した。都内で2月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 10日 ロイター] - 東京証券取引所は10日、日本郵政[IPO-JAPP.T]と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社から申請があった株式上場を正式に承認した。過去に例のない「3社同時上場」は11月4日となり、2005年の小泉改革以降、10年にわたり曲折を続けた民営化が動き出す。
復興財源に充てる日本郵政株の時価総額は6.1兆円と純資産を大きく割り込む見通しで、上場後の郵政株の値上がりに期待する声が強まれば、昨年から始まったNISA(少額投資非課税制度)との相乗効果で、高齢者を中心に新たに株式投資に参入する動きが広がりそうだ。
東証からの上場承認を踏まえ、日本郵政とゆうちょ銀、かんぽ生命の3社が同日、上場を決議した。郵政株を保有する財務省が4億9500万株(発行株の11%)を売り出す一方、日本郵政は保有するゆうちょ銀株の一部である4億1244万2300株(同)、かんぽ生命も6600万株(同)を売却する。
初回売り出し価格は、現時点で、日本郵政1350円、ゆうちょ銀1400円、かんぽ生命2150円と想定し、3社合計の売出総額は1兆3875億円と、ともに2兆円を超えたNTT<9432.T>、NTTドコモ<9437.T>に次いで3番目の規模となる。
月内にも国内外の投資家訪問を実施し、政府は、どの程度の需要があるかを慎重に見極める。その後、10月7日に各社の仮条件を提示し、10月19日にゆうちょ銀とかんぽ生命の売出価格を、10月26日に日本郵政の価格を決める運びだ。
日本郵政の純資産は15.4兆円となっており、想定価格ベースからの試算では日本郵政としての時価総額は6.1兆円(PBR=株価純資産倍率=は0.395倍)となる。
一方、ゆうちょ銀の時価総額は5.2兆円、かんぽ生命は1.3兆円となる見込みで、ゆうちょ銀の純資産11.5兆円に対してPBRは0.456倍、かんぽ生命は2兆円に対して0.647倍と、いずれも目安とされる1倍を大きく割り込んでおり、市場では「割安感から個人投資家の人気を集めそうだ」(国内証券)との声が出ている。グループ3社の時価総額としては推計12.6兆円となる。
財務省では、日本郵政グループ3社の販売比率を国内8、海外2と想定。このうち、国内では個人投資家向けに95%を販売したい考え。海外分については「すべてを機関投資家に割り当てる」(同省幹部)としている。
政府は、日本郵政株を2、3年に1回のペースで売却し、復興財源4兆円を確保する方針だ。
*内容を追加しました。
(山口 貴也 編集:山川薫)