ニュース速報

ビジネス

14年度の主食米輸入量が過去最低に、国内米の価格低下で

2015年03月27日(金)13時41分

[東京 27日 ロイター] - 政府が1995年から設定している無関税のコメ輸入枠のうち、2014年度の主食米輸入量が、過去最低の水準にとどまっている。国内産の価格低下で内外価格差が縮小し、国内産米の価格競争力が増した結果との声が、関係する業界関係者から出ている。

農水省によると、関税貿易一般協定(GATT)ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、日本が1995年度から無関税で輸入しているコメ(ミニマム・アクセス米)のうち、主食米の2014年度の輸入量は1万1606トン。制度が本格的に始まって以来、最低の水準だった。

ミニマム・アクセス米の年間輸入枠は、全体で77万トンだが、ほとんどは加工用や飼料となる。

輸入業者を入札で決める売買同時契約(SBS)方式で行われる主食米の枠は10万トン。12年度までほとんどの年で枠いっぱいの10万トンが輸入されていたが、13年度から減少し、14年度は枠の10分の1をやや上回る水準にとどまった。

ミニマム・アクセス米の輸入先国は米国、タイ、オーストラリア、中国など。価格は国内産米より低いにもかかわらず需要が減少していることは、内外価格差縮小で国産米の競争力が高まったことを示すとも言える。

この原因について、農水省は「国産米の価格が低下したため、輸入米のメリットがなくなった」と分析している。また、主な消費主体である外食、昼食産業では、国産米志向が高まっていることも背景にあるという。

日本農業研究所の服部信司氏客員研究員は「1万トンというのは驚くほど少ない量だ。国内産米の価格が非常に下がり、内外価格差が縮小していることが原因だろう」としつつ、「ただ、これをもって、関税が撤廃されても国内産米の競争力が十分あるとまでは言えない」との見方を示した。

(宮崎亜巳 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア国営TV、米有権者をトランプ氏に誘導か=米情

ワールド

アングル:ハリス対トランプ」TV討論会、互いに現状

ワールド

SNS、ロシア影響下疑惑の投稿にほぼ未対応

ワールド

アングル:サウジに「人権問題隠し」批判、eスポーツ
MAGAZINE
特集:日本政治が変わる日
特集:日本政治が変わる日
2024年9月10日号(9/ 3発売)

派閥が「溶解」し、候補者乱立の自民党総裁選。日本政治は大きな転換点を迎えている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレイグの新髪型が賛否両論...イメチェンの理由は?
  • 2
    メーガン妃の投資先が「貧困ポルノ」と批判される...「アフリカの女性たちを小道具として利用」「無神経」
  • 3
    「令和の米騒動」その真相...「不作のほうが売上高が増加する」農水省とJAの利益優先で国民は置き去りに
  • 4
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 5
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 6
    【現地観戦】「中国代表は警察に通報すべき」「10元…
  • 7
    森に潜んだロシア部隊を発見、HIMARS精密攻撃で大爆…
  • 8
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 9
    川底から発見された「エイリアンの頭」の謎...ネット…
  • 10
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 1
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 2
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン」がロシア陣地を襲う衝撃シーン
  • 3
    中国の製造業に「衰退の兆し」日本が辿った道との3つの共通点
  • 4
    国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』 鑑賞チケット5組…
  • 5
    死亡リスクが低下する食事「ペスカタリアン」とは?.…
  • 6
    大谷翔平と愛犬デコピンのバッテリーに球場は大歓声…
  • 7
    再結成オアシスのリアムが反論!「その態度最悪」「…
  • 8
    エルサレムで発見された2700年前の「守護精霊印章」.…
  • 9
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 10
    世界最低レベルの出生率に悩む韓国...フィリピンから…
  • 1
    ウクライナの越境攻撃で大混乱か...クルスク州でロシア軍が誤って「味方に爆撃」した決定的瞬間
  • 2
    寿命が延びる「簡単な秘訣」を研究者が明かす【最新研究】
  • 3
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 4
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 5
    ハッチから侵入...ウクライナのFPVドローンがロシア…
  • 6
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 7
    日本とは全然違う...フランスで「制服」導入も学生は…
  • 8
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 9
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 10
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中