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ドル119円前半、投機筋は戻り売りが優勢

2015年03月27日(金)12時48分

 3月27日正午のドル/円は、NY市場午後5時時点に比べ、小幅にドル高/円安の119円前半。写真はスクリーンを見つめるFX会社の従業員、1月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 27日 ロイター] - 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、小幅にドル高/円安の119円前半。事実上の月末・期末・年度末取引となるこの日は、実需筋のフローが売り買い両サイド観測された。ドルは投機筋の戻り売りをこなしつつ119円割れを免れ、底堅さを見せた。

ドルは前日の東京時間の夕刻に118.33円まで下落し、1カ月ぶり安値をつけた。その後は、米長期金利の反発などに支えられ戻り基調となり、東京市場を迎えた。

この日のスポット取引の決済は月末となるため、きょうは事実上の月末・期末・年度末となる。市場では「期末がらみの売りのフローと買いのフローが両サイド出ていた」(邦銀)とされる。

他方、投機筋の間では、ドルの戻り売りが優勢とされ、「昨日売りそびれた人たちの戻り売りが出ていた」(邦銀)という。ただ、「このところのユーロやポンドの急落・急反発で、投機筋は相当の打撃を受けている。しばらくは何もしたくないというのが本音だろう」(投資家)との指摘も上がっていた。

前週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル安傾向について、三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏は、「市場では、6月の米利上げ開始にベットしていた人が相当多かったが、FOMCや(予想外の弱さとなった)耐久財受注を経て、利上げの後ずれ観測が台頭するなか、態勢を立て直すのに時間がかかっている」との見方を示した。

<為替スワップで期近物のドル調達コストが上昇>

為替スワップ取引では、期末をカバーする期近物のドル調達コストが急上昇している。

1週間物のドル/円スワップのドル・ディスカウントは、目下2.6ベーシスポイント(bp)で、前週末の0.89bpから大幅に拡大した。

スプレッドを年率換算値で見ると、足元では112.08bpと、前週末の38.06bpに比べ約4倍の水準まで拡大している。

金利裁定を前提とする為替スワップ取引では通常、スワップ・スプレッドが日米金利差に収れんするが、市場で需給バランスが崩れたり何らかのストレスがかかった場合には、理論値からかい離することが知られている。

足元、1週間物のかい離幅は102.50bpで、本邦勢が為替スワップを通じて短期ドル資金を調達する場合に1%を上回るコストがかかる。

他方、供給サイドの欧米金融機関は大幅なマイナス金利で円資金を調達できることになる。

<アトランタ連銀総裁「ドル高は利上げで考慮すべき要因」>

為替市場では、米アトランタ地区連銀のロックハート総裁の前日の発言が話題を呼んでいる。同総裁は、ドル高の進行は利上げを判断する上で考慮すべき「全体像の一部」と述べ、軽視できないとの見方を示した。ダウジョーンズ通信が伝えた。

総裁は、ドルが上昇し始めた当初は「(経済への影響という点で)小さな要因だろうとみていた」と指摘。しかし、日欧が金融緩和政策を強化する一方で、米国が利上げへと向かっていることから金利差拡大の思惑によるドル買いが続き、ドルの運用先として米国債に資金が流入して長期金利を下落させていることが分かってきたという。

世界的な金利低下傾向を指摘し、FRBが利上げを進める際には「長期金利が(利上げの動きと)一致して上がっていくか少し心配する必要がある」と述べた。

米10年国債利回りは、午後零時20分時点で、1.9964/1.9947%の気配で、ニューヨーク終盤とほぼ変わらず。

       ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

正午現在   119.31/33 1.0874/78 129.75/79

午前9時現在 119.19/21 1.0883/87 129.72/76

NY午後5時 119.19/21 1.0883/85 129.64/68

(為替マーケットチーム)

ロイター
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