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ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨

2015年03月06日(金)00時44分

 3月5日、ECBは主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。写真はドラギ総裁。ブリュッセルで2月撮影(2015年 ロイター/Francois Lenoir)

[ニコシア 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は5日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.05%に据え置いた。

金利据え置きは予想どおり。上限金利の限界貸出金利も0.30%に、下限金利の中銀預金金利もマイナス0.20%に据え置いた。

理事会後に開かれた会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。

<対ギリシャ緊急流動性支援>

本日、(ギリシャに対する)緊急流動性支援(ELA)枠を5億ユーロ拡大した。

ELAはギリシャ中央銀行が決定するものだが、ECB理事会は特定の条件が満たされていない場合、拒否できる。

ELA実施の条件の1つは、支払い能力があり、適切な資本を保有している銀行であるということだ。ギリシャの銀行は現時点では支払い能力を有しており、資本水準も最低要件を大きく上回っている。これはプラスの材料だ。

ギリシャ政府は銀行システム強化に向け、多くのことを行ってきた。このため、同国の銀行システムは支払い能力を有しており、経済への信用供与のカギとなっている。

この支払い能力は、ECBがギリシャに対するELAを承認する前提条件となっているため、維持されることが非常に重要になっている。

われわれが現時点で実施できる最も重要なことは、この支払い能力、およびギリシャの銀行システムの堅調さを保全することだ。

このため、ECBはユーログループ(ユーロ圏財務相会合)に対し、突発的に緊急事態が発生した場合、資本増強に向け約100億ユーロの資金が利用できるように用意を整えておくよう要請した。

<ギリシャ国債買い入れ>

多岐にわたる理由から、ECBは現時点でギリシャ国債の買い入れを行うことはできない。(ギリシャに対する審査が進行中であるほか、ECBは現時点で投資適格級の国債を買い入れるという要件に対し特例措置を講じることはできない。また、ECB保有のギリシャ国債が同国の発行残高の33%を超えているため。)

証券市場プログラム(SMP)を通じECBが購入したギリシャ国債が7月もしくは8月に償還を迎え、特例措置が復活すれば、ECBは新たな債券購入プログラムを通じ、ギリシャ国債を買い入れることが可能だ。

特例措置を復活させる必要があり、条件が整った段階で、ECBはこれを復活させる用意がある。

<ECBのギリシャ融資>

まず最初に明確にしておきたいが、ECBは今日まで、ギリシャに1000億ユーロを融資した。より正確に言えば、過去2カ月間で500億ユーロだった融資額を1000億ユーロに倍増した。

ギリシャへの融資規模は今日、ギリシャ国内総生産(GDP)の68%と、ユーロ圏内で最高水準に達する。この観点から、ECBはギリシャの中央銀行と呼ぶこともできる。ただ、ECBは他国の中銀でもあり、規定に基づく機関だ。

諸条件が整えば、ギリシャ経済への資金供給をECBがまず初めに再開したい。諸条件とは、見直し作業が首尾よく完了することを示すプロセスが、速やかに実施されるということだ。それが条件で、われわれはそうした進展を間違いなく歓迎する。

<ギリシャ特例措置>

見直し作業が首尾よく終わるとのメドがたった段階で、ギリシャ国債を資金供給オペの適格担保として認める特例措置を復活させる用意がある。

<構造改革>

特に投資を増やし、雇用創出ペースを加速させ、生産性を高めるため、複数の国が製品・労働市場の改革を断固実行し、企業の事業環境改善に向けた行動をさらに推し進める必要がある。構造改革が迅速、確実、効果的に行われることが重要だ。

<量的緩和計画に変更無い>

2016年9月まで、あるいは必要な場合はそれ以降も、月600億ユーロの証券を買い入れる計画以外の方法について考え、計画、行動する理由はない。

<ギリシャ>

(ギリシャ短期債券の発行限度引き上げについて問われ)直接・間接にECBが財政ファイナンスを行うことは欧州の規定で禁じられている。ECBは規定に基づく機関で、政治機関でない。

<インフレ率は年内徐々に上昇>

われわれの最近の金融政策が総需要に対し及ぼしているプラスの影響、およびユーロ安の影響に加え、原油価格が今後上向くとの予想に基づき、インフレ率は2015年はこの先、徐々に上昇していくと見られる。

こうした見方は、3月のECBスタッフ予想におおむね反映されている。スタッフ予想では、ユーロ圏消費者物価指数(HICP)上昇率は2015年は0.0%、2016年は1.5%、2017年は1.8%になるとの見通しが示されている。

<ECBスタッフ予想は上方修正>

ユーロ圏の実質域内総生産(GDP)伸び率に関するECBスタッフ予想は、2015年が1.5%、16年が1.9%、17年が2.1%となった。

原油価格下落やユーロ安の恩恵、ECBが最近実施した緩和策の効果を反映し、2015および16年のGDP予想は、2014年12月のスタッフ予想から上方修正された。

<景気は回復しつつある>

2月までに発表された一連の経済指標や統計は、年初に経済活動が一段と改善したことを示唆している。今後、景気回復の裾野が広がり、緩やかに勢いを増すと予想する。

<国債買い入れ>

2016年9月末までの実施が意図されているが、いずれの場合でも、インフレ率の道筋が持続的に調整され、2%をわずかに下回る水準とするわれわれの中期的なインフレ目標と整合性があると確認できるまで実施する。

公的部門の買い入れプログラムに関する実施面に関する詳細な情報は、1430GMT(日本時間午後11時30分)にECBのウェブサイトに掲載する。

<スタッフ予想は慢心する理由にあたらず>

3月のECBスタッフ予想に沿った景気循環的(シクリカル)な回復は、慢心する理由にはならない。

<物価リスク>

理事会は、物価安定へのリスクを引き続き注視していく。

<量的緩和の詳細>

2015年3月9日にユーロ建て公的部門証券の流通市場での買い入れを開始する。また、前年に開始した資産担保証券(ABS)とカバードボンドの買い入れも継続する。

*内容を追加して再送します。

ロイター
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