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金融庁が地銀対象にストレステスト、金利上昇・株安など3ケースで

2015年02月25日(水)14時23分

 2月25日、複数の関係筋によると、金融庁は地銀を対象に金利上昇、株価下落、貸出毀損の3つのケースで、ストレステストを実施していたことが明らかになった。昨年8月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 25日 ロイター] - 複数の関係筋によると、金融庁は地銀を対象に金利上昇、株価下落、貸出毀損の3つのケースで、ストレステストを実施していたことが明らかになった。その結果、地銀全体に与える影響は金利上昇ケースが最も大きいことが判明。地銀各行に対し、金利が急上昇した場合の対応などリスク管理の徹底をあらためて促していく方針だ。

関係筋によると、金融庁は2015年に入って地銀各行の昨年9月末時点の計数をもとに、1)円金利が1%上昇、2)株価が40%下落、3)総与信の1%が毀損──した場合の3つのシナリオについて、ストレステストを実施した。

その結果、円金利が1%上昇するケースが地銀全体でみた場合、経営への影響がもっとも大きいことが判明した、という。

日銀が昨年4月に大規模に資金を供給する量的・質的金融緩和(QQE)を導入して以降、長期金利は低下を続け、現在は0.3%台と歴史的な低水準にある。

もっとも、この間の円金利リスクの動向をみると、大手行は国債の残高圧縮と年限の短期化などで金利リスクを減少させている一方、地銀全体のリスク量は横ばい圏内の動きにとどまっている。

ストレステストからは、金利が1%上昇した場合でも資本不足に陥る地銀がないことも判明したが、日本経済のデフレ脱却や米国の利上げ開始など経済・金融環境の変化によっては、金利が急速に上昇する可能性も否定できない。

金融庁が比較的金利リスクが高いと考えられる地銀40行に対して実施したアンケート調査でも、9割程度が急激かつ大幅な金利上昇への具体的な対応策を策定していないこともわかっている。

金融庁では、ストレステストの実施などについて「具体的なことには、コメントできない」としている。

こうした実情や、金利が急上昇もしくは現在の超低金利が長期化する場合の経営への影響を踏まえ、あらためて運用や金利リスクの体制整備を促していく考えだ。

(伊藤純夫 和田崇彦 編集:田巻一彦)

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