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日本郵政に上場特例、徹底した情報開示が必要=取引所CEO

2015年02月24日(火)22時14分

 2月24日、日本取引所グループの斉藤惇CEOは、日本郵政グループの上場では特例を設け、徹底した情報開示を求めていく考えを示した。写真は都内で同日撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 24日 ロイター] - 日本取引所グループ<8697.T>の斉藤惇最高経営責任者(CEO)は24日の会見で、日本郵政グループの上場では特例を設けるとともに、持ち株会社の日本郵政に徹底した情報開示を求めていく考えを示した。

また、東京証券取引所は24日、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の策定を受け、上場規則の変更を発表。斉藤CEOは上場企業と投資家の対話の促進を求めた。

斉藤CEOは日本郵政グループに関し「プライシングが非常に難しい」と述べ、持ち株会社の日本郵政に徹底した情報開示を求めていく考えを示した。

また、郵政グループ3社の同時上場は大型案件のため、特例を設け、流通株式が上場株式の35%以下でも上場を認めるとの見解も表明した。

一方、企業統治指針の策定に伴って上場制度を整備する。金融庁・東証が昨年12月にまとめた同指針では、独立社外取締役の複数選任、政策保有株についての説明、株主との対話の促進といった項目が柱。コードに盛り込まれた項目のすべてが強制的に適用されるわけではなく、採用するかしないかは上場企業が判断し、採用しない場合には説明が求められる点に特徴がある。

東証では、上場企業に対し、コードを実施しない場合に説明義務を課す。東証1部・2部・マザーズ・ジャスダックの全上場企業を対象にする。

ただ、マザーズとジャスダック上場企業は、5つある「基本原則」についてのみ、実施しない場合の説明義務を負う。複数の独立社外取締役選任はコードの中で30ある「原則」の1つのため、採用しなくても説明義務はない。

東証は同時に、独立社外取締役の開示方法の見直しも正式に発表した。これまでは、「主要株主の業務執行者」など独立性ありと判断される類型の一部について、上場企業側に独立性がある旨を説明するよう求めていた。

しかし、企業側で過度に保守的に運用され、独立性が高い人材でも独立社外取締役への登用が進まない状況に陥っていた。今回、独立社外取締役の選任を促すため、類型上、独立性を有すると判断される場合には当該取締役の属性のみ開示すればよいこととする。

今回の変更により、独立社外取締役の採用が増えることが見込まれる半面、独立性で疑わしい人材まで独立社外取締役に登用されるリスクがある。この点について、JPXの斉藤CEOは「東証は介入しない」と話し、今後は上場企業と投資家の対話に委ねる方針を示した。

(和田崇彦 編集:田巻一彦)

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