ニュース速報

ビジネス

旭化成が米ポリポアを22億ドルで買収、環境エネルギー領域を拡大へ

2015年02月23日(月)20時39分

[東京 23日 ロイター] - 旭化成<3407.T>は23日、米ポリポアを22億ドル(約2600億円)で買収することで合意したと発表した。成長性の高いセパレータ事業を拡大し、経営計画に掲げる環境・エネルギーの領域を強化するのが狙い。

今回のM&A(合併・買収)は旭化成にとって過去最大の案件となるが、同日会見した浅野敏雄社長は、今後、大きな補完関係や成長見込める案件について「積極的にトライしていきたい」と意欲を示した。

ポリポアは、携帯用電子機器などに使われるリチウムイオン二次電池や鉛蓄電池向けの「バッテリーセパレータ事業」(年間売上高4.4億ドル)と、「医療・工業用膜事業」の2つを柱とし、旭化成はこのうちバッテリーセパレータ事業の株式を100%取得する予定。

ポリポアの株式1株に対し60.50ドルで買収する。過去1カ月の終値平均値に対し約28%のプレミアムを乗せた水準。医療・工業用膜事業は、3Mに売却される予定。

旭化成の買収するバッテリーセパレータ事業は、タブレット端末のような携帯電子機器やスマートフォン向けの小型蓄電池のほか、ハイブリッド車や電気自動車といった環境対応車用の蓄電池などを得意とする。今後、ハイブリッド車の増加や新興国を中心とする自動車市場のさらなる拡大が見込まれ、買収の意義は大きいと判断した。

旭化成は新株発行や社債発行による資金調達は考えておらず、すべてを銀行融資でまかなう予定。

生産拠点の面でも、ポリポアは欧米、インド、アジアなど旭化成との重複が少なく、グローバル展開に弾みがつくと判断した。

<円安も買収は成長戦略に合致するかで決断>

このところの円安・ドル高が海外M&Aを考えるうえでどう影響したかについて浅野社長は「考えなかったかと言われると、考えた」と話した。

旭化成が2012年にゾールを買収した際の買収金額はドル建てで22億だったが、現在のレートで換算すると、ポリポア買収はそれより高く映る。浅野社長は「プレッシャーは大きくなるが、成長戦略に合致するか、成長するか、シナジーを生み出せるかを主体に決断した」と述べた。

旭化成のファイナンシャル・アドバイザー(FA)は三菱USJモルガン・スタンレー証券、ポリポアのFAはバンクオブアメリカ・メリルリンチ。

*内。

(浦中大我、江本恵美)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米一戸建て住宅着工件数、8月15.8%増 ローン金

ワールド

レバノンでまた一斉爆発、ヒズボラの無線機 3人死亡

ワールド

中東情勢悪化を警告、ヒズボラ通信機器爆発で 米国務

ビジネス

米30年住宅ローン金利、2年ぶり低水準 利下げ観測
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 3
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS攻撃の衝撃シーンをウクライナ無人システム部隊が公開
  • 4
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 5
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 6
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 7
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 8
    米大統領選を撤退したのに...ケネディJr.の色あせな…
  • 9
    【独占】ゴルフ場でトランプを撃とうとした男はウク…
  • 10
    英国で「最も有名な通り」を、再びショッピングの聖…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中