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英中銀がインフレ低下のリスク指摘、必要なら利下げも

2015年02月13日(金)01時04分

 2月12日、イングランド銀行はインフレ報告を発表し、インフレ率が予想を超えてマイナス圏に低下した場合は利下げする用意があるとした。写真はカーニー総裁、2014年11月代表撮影(2015年 ロイター/Stefan Rousseau)

[ロンドン 12日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は12日、インフレ報告を発表し、年内に利上げを実施する必要性は低いとの見方を示す一方、インフレ率が予想を超えてマイナス圏に低下した場合は利下げする用意があるとした。

一方、原油安を背景に経済成長見通しは上方修正した。

カーニー総裁は、原油価格が約6年ぶりの安値に下落していることを受けて、インフレ率が数カ月以内にゼロを下回るとの見通しを表明した。ただ、それ自体は英経済がデフレに陥ったことを意味するものではないと強調。インフレ率が中銀目標を大幅に下回った理由についてオズボーン財務相に宛てた書簡では、「英国は『デフレ』の状態にはない」と述べた。

中銀は、インフレ率が今後2年程度で目標とする2%に達するとの予想を示し、3カ月前よりも時期を前倒しした。

総裁はインフレ報告発表後に、「エネルギーおよび食料品価格の影響が弱まった後に可及的速やかにインフレ率を目標まで戻すことが適切」と強調した。

2014年12月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.5%上昇と、約15年ぶり低水準を記録。中銀目標の2%を大幅に下回った。

ただ中銀は、世界経済が鈍化し英国が価格下落の悪循環に陥る危険にさらされた場合は、緊急政策を実行している他の中銀にならい、利下げに踏み切る用意があると言明した。

英中銀はこれまで、政策金利の引き下げによる利益はほとんどなく、金利が0.5%を下回った場合一部銀行の体力が持たないとしていただけに、今回の報告内容は大きな転換点となった。

総裁は「金融政策委員会は、状況に応じ、インフレ率が適切なタイミングで目標に戻ることを確実にするため、必要とされるいかなる措置も講じる用意がある」と述べた。

<成長見通しを上方修正>

一方、インフレ報告の見通しは前向きで、英経済はフル稼働状態への復帰が近いとの見方を示した。

成長見通しを上方修正し、賃金の伸びは加速すると予想。5月7日の総選挙前に有権者が最近の景気回復の恩恵を実感できる可能性を示した。

今年第2・四半期の消費者物価の伸びが過去最低のゼロになる可能性を指摘し、11月時点の予想の1%からさらに引き下げた。その後は、市場の予想通り利上げが実施されれば、2年間で2%、3年で2%をやや上回る水準に向け段階的に上昇するとしている。

利上げ時期については、市場は2016年第3・四半期までに開始されるとは予想していないと指摘した。11月時点では2015年10月だった。

市場の予想通り利上げが実施されない場合はインフレ率が目標を若干上振れるとの見方を示した格好となり、市場が予想する時期よりもやや早期に利上げに動く可能性がある。

今年の成長率は過去数年来の高水準となる2.9%と予想。2016年も2.9%と予想し、11月時点の2.6%から引き上げた。

今年の賃金上昇率については、2014年の1.75%から3.5%に加速するとの見方を示した。

*内容を追加して再送します。

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