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日米首脳会談、米側が貿易収支に言及 来月早々に事務レベル協議
[大阪 28日 ロイター] - 安倍晋三首相と米国のトランプ大統領は28日午前、20カ国・地域(G20)首脳会談(サミット)開催に先立ち、大阪市内で会談した。政府関係者によると、日米間の貿易収支についてトランプ大統領が言及。
また、両首脳は日米安全保障条約と日米同盟の重要性を確認した。同日午後に行われた茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との会談では、来月早々にも貿易交渉で事務レベル協議を行うことで一致した。
<トランプ氏が貿易収支に言及、安倍首相は日系企業の投資を説明>
首脳会談の内容を説明した西村康稔官房副長官によると、日米間の貿易収支についてトランプ大統領が言及。貿易収支の現状について「率直に意見交換した」という。外交上の用語として「率直な意見交換」は、厳しいやり取りを含む交渉を表現する際に使用されることが多く、トランプ大統領が対日赤字の削減に対し、強い姿勢で臨んだ可能性がある。
実際、西村副長官は、トランプ大統領が農産品の輸出拡大に関心があることについて、日本側は理解していると説明しており、米国から農産品の輸出拡大で要求があったことをうかがわせた。
トランプ大統領による貿易収支の議論は日本による自動車の対米輸出か米国の農産品の対日輸出かとの質問に対して、西村氏は「詳細は控えるが安倍首相は(日系自動車メーカーの)対米投資の話をした」と説明しており、自動車でも議論が出た可能性がある。
安倍首相は、この3カ月間で日本企業が16件の対米投資を決めたと説明。日本企業が米国内で244億ドルを投資し、4万7000人の雇用創出に貢献したと述べ、米側の理解を求めたという。
日米通商交渉を巡っては、5月の来日時にトランプ大統領が8月中の決着に言及した経緯があるが、この日の会談で、早期合意を目指すことで一致したが、交渉決着のメドなどについて「時間軸の議論はなかった」(西村官房副長官)との説明があった。
<同盟深化拡大を議論とホワイトハウス発表>
日米首脳会談に関連し、西村副長官は「安保、貿易それぞれ議論したが、それらを関連づける話はなかった」と述べるとともに、防衛装備品や為替をめぐる議論もなかったと説明した。
一方、トランプ大統領が訪日直前、日米安全保障条約の片務性に不満を表明したと報道され注目された日米安保体制については「地域・グローバルな安保面の課題について議論したが、日米安保を変更する話は一切なかった」(西村副長官)という。
米ホワイトハウスは日米首脳会談後の声明で「両首脳が日米同盟に基づく世界規模での協力を深化させ拡大させていく意向を確認した」と発表した。拡大・深化の内容について西村氏は「宇宙やサイバー空間、様々な地域の課題に対処するうえで日米同盟でしっかり連携していくという意味。何か特段、今の安保を変更する話ではない」と説明した。
対北朝鮮外交では、最新情勢を踏まえ、日米間でのすり合わせを行った。拉致問題では、トランプ大統領が早期解決へ全面的な支持を改めて示したという。
27日の日中首脳会談を踏まえ、米中関係についても日米首脳間で意見交換が行われ、安倍首相のイラン訪問の結果なども踏まえ、イランを含めた中東地域の情勢についても議論された。
首脳会談の冒頭部分は、報道陣に公開された。安倍首相は、3カ月連続の首脳会談が強固な日米同盟の証であると強調。G20サミットにおいて世界経済の成長に向け力強いメッセージを発するために、米国の協力を要請した。
これに対してトランプ大統領は、令和初の国賓訪問は光栄としたうえで、ミシガン、オハイオ州などでの日系自動車企業について謝意を表明。今回の会談では、貿易や軍事、防衛装備品を議論したいと強調した。
日米首脳会談に続き、インドのモディ首相も加わって開かれた日米印首脳会談が行われた。中国の進出を意識した自由なインド・太平洋地域をテーマに、宇宙、安保、質の高いインフラなどについて、率直な意見交換が行われた。
<通商交渉、7月早々に複数グループの実務者協議>
首脳会談に同席した茂木経済再生相は28日午後、ライトハイザー米通商代表と日米通商交渉の閣僚級協議を行った。茂木再生相によると、詰めるべき論点が絞り込まれてきており、「早期合意のため、事務レベル協議を来月早々、複数のグループに分かれて行うことで一致した」という。[nL4N23Z27I]
茂木再生相は「トランプ大統領が貿易収支について強く議論した印象はない」とコメントした。
*情報をまとめ再構成しました。
(竹本能文 編集:田巻一彦、石田仁志)