アメリカ外交 ライバル国に甘い「戦略的忍耐」に大転換が、必然の選択だった理由
冷戦期やアメリカ一強時代には、他の国々にとってアメリカのアプローチを受け入れることには明白な経済的利点があった。だが、時代は変わった。現在の中国は世界の半数以上の国々にとって最大の貿易相手国だ。他の国々に対し、アメリカと同じように多くの経済的利点を提供している。しかも拡張主義的な領土と主権に関係する特定の問題を除き、アメリカのようにルールや規範を押し付けようとはしない。
アメリカが外交の柔軟性を高めても、自己主張を強める中国の挑戦を抑制できるかどうかは未知数だ。しかし、それ以外の選択肢は国際問題からの撤退か、米中の意見が異なる分野での直接対決しかない。もしそうなれば、全ての国にとって経済的・政治的悪夢になることはほぼ間違いない。
バイデンの新しい外交アプローチは成功か失敗か。さらには戦争と平和のどちらをもたらすのか。悲劇的で皮肉な話だが、その答えはアメリカよりも中国側の出方によって決まることになりそうだ。
2024年4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が愛した日本アニメ30」特集。ジブリのほか、『鬼滅の刃』『AKIRA』『ドラゴンボール』『千年女優』『君の名は。』……[PLUS]北米を席巻する日本マンガ
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新しい日本」を見た 2024.04.23
「トランプ大統領」の出現を19世紀に予見した男 2024.03.28
日本は尖閣沖の中国製漂流ブイを撤去せよ 2024.03.06
「ボストンを変えた」交響楽団に音楽監督として乗り込んだ小澤征爾が打ち破った上流社会の伝統 2024.02.28
まるで「対岸の花火」......日本人は金正恩の「ミサイル挑発」にどう向き合うべきか? 2024.02.06
フーシ派海賊攻撃と、国際秩序を不安定化させる「3体問題」 2024.01.23