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本性を現した岸田政権
また現金とは異なり、クーポンにはその作成や引き換えにコストがかかる。その分を民間企業に委託するとなれば、経済対策に使えたはずの税金が、「中抜き」されることになる。そこに所得制限を設けたことによる申請のための書類作成やその審査へのコストもプラスされる。シンプルに現金を配ればよいところを、わざわざ複雑化することで無駄な行政コストを生み出し、それを「中抜き」させるのは、もはや自公政権の様式美となっている。
継続する「古い自民党」
岸田政権は「新しい自民党」を訴えて総裁選、総選挙に勝利した。しかし、本当に自民党は新しくなったのだろうか。筆者は9月の記事で、岸田自民党はこれまでの自民党と変わらないのではないか、いう懸念を示した。この10万円給付案に関するプロセスは、残念ながらこれまでの自民党と同じということなるだろう。
岸田首相は、緊急経済対策として18才以下への給付金だけでなく、持続化給付金に類似する中小企業支援や、非正規労働者など困窮者対策も打ち出している。しかし、中小企業支援については申請可能な基準が低くなる一方で、持続化給付金では不正受給が横行したという理由で、審査は厳しくなる。現在の支援金の審査基準でも、何回も書類を出し直しさせられるなどの事例が相次いでおり、中小企業にとって申請は大きな負担となっている。2021年は、特に首都圏は一年を通して緊急事態宣言下にあり、事業者は追い込まれている。第六波でまた緊急事態になるこういうときには厳格な審査ではなくたとえばドイツのように、オンライン申請から3日で給付金が振り込まれるような中小企業支援が求められているのではないだろうか。
また非正規労働者などの困窮者対策についても、住民税非課税世帯を対象とするとしており、極めて限られた支援となっている。昨年春、住民税非課税世帯への30万円給付を行おうとした安倍政権は批判を受け、一律10万円の給付に切り替わったことは記憶に新しい。申請主義や限定的な困窮者対策など実態と合っていない対策は、これまでの自民党政策を踏襲しているのだ。
新自由主義も復活
岸田首相は、選挙前に「成長戦略会議」を廃止し、新自由主義からの脱却姿勢を示した。しかし選挙後、新たに設置するとしていた「デジタル田園都市国家構想実現会議」には、「成長戦略会議」の元メンバーであり、新自由主義改革を象徴する人物である竹中平蔵など新自由主義を志向するメンバーが名を連ねている。これでは名前だけ変えた「成長戦略会議」に他ならない。「デジタル田園都市」は「成長の果実を分配」するはずだったが、これまでと同じ「身内」企業に税金を「分配」する利益誘導のシステムと化すだろう。
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