コラム

都議会選で自民党を大敗から救ってやったキミへ

2021年07月09日(金)17時54分
都議選ポスター

都議選投票日。20代の投票率は28%と最も低かった(7月4日) Issei Kato-REUTERS

<コロナ、失業、五輪強行と不満だらけのはずなのに、若い世代は相変わらず投票に行かず、政治家にも舐められっぱなしだ>

7月4日に行われた東京都議会議員選挙は、勝者らしい勝者がいないという結果に終わった。この選挙では、大きく分けて3つの政治ブロックが争った。都民ファースト、自民+公明、立憲民主+共産+生活者ネットである。

獲得議席は、都民ファーストが31、自民+公明ブロックが56、立憲+共産+ネット+共闘無所属ブロックが36。いずれの勢力も過半数を制することができず、今後の議会運営は激しい駆け引きが行われることになるだろう。

今回の選挙で目立ったのは、42.391%という低投票率だ。これは過去最低の1997年の40.80%に次ぐ低さだった。世代別にみれば、20代が28%と最も低くなっている。低投票率によって得をするのはどこか。組織票に頼った勢力だ。

勝利者なき選挙

自民党は当初の予想では公明党と合わせて過半数は確実だと思われていたが、蓋を開けてみれば僅差での第一党であり、歴史的大敗を喫した前回選挙からは議席を増やしたものの、これもまた歴史的大敗といわれた2009年の民主党旋風時の議席数よりも少ない。

都民ファーストは、一桁議席の可能性すら囁かれていた当初の予想よりも大きく票を伸ばした。しかし第一党を取るまでには勢力は回復せず、前回より10以上も議席を減らすことになった。

立憲民主党は議席を倍増させ、共産党も議席を上積みしたので、ここの共闘は一定の成果をあげたといえる。しかしながら、都議会過半数を狙えるだけの勢力には未だに至ってはいない。国政選挙で中心勢力として自民党と対決することになっている立憲民主党が今回の都議選で擁立したのは、わずか27人であったのだ。

この選挙で辛うじて勝者と呼べるのは、立候補者全員当選の記録を今回も伸ばした公明党ではないだろうか。

当日の出口調査では落選議員が出る可能性が示唆されていたものの、組織票が期日前に入ったことにより、公明党は前回までと同様、今回も23人全員を当選させている。一方、同じく低投票率に強いといわれている自民党は、今回は低調だった。なぜなのか。ひとつには、2009年と2017年の敗北、高齢化、コロナ不況などで、自民党を支持する組織が弱体化している可能性がある。

プロフィール

藤崎剛人

(ふじさき・まさと) 批評家、非常勤講師
1982年生まれ。東京大学総合文化研究科単位取得退学。専門は思想史。特にカール・シュミットの公法思想を研究。『ユリイカ』、『現代思想』などにも寄稿。訳書にラインハルト・メーリング『カール・シュミット入門 ―― 思想・状況・人物像』(書肆心水、2022年)など。
X ID:@hokusyu1982

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

第4四半期の英GDPは前期比+0.1%、速報値から

ビジネス

スウェーデン中銀、金融引き締め必要も インフレ警戒

ビジネス

商船三井、205円起点に累進配当導入へ 機動的に自

ビジネス

中国、インフレ加速と成長リスクへの対応必要に=黄人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 5
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story