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どんどん不自由になる日本の表現の自由
慰安婦を表現した少女像の展示がまた脅迫の対象に(写真は、韓国・ソウルの慰安婦像) Kim Hong-Ji-REUTERS
<署名を偽造したり脅迫したり、「反日」を潰すために右翼は手段を選ばなくなってきている>
6月10日、今月25日から東京都新宿区で開催予定だった「表現の不自由展」の実行委員会が緊急記者会見を行い、会場での妨害行為が頻発しているなどの理由で、開催場所の変更を行わざるをえなくなっていると発表した。
「あいちトリエンナーレ」での「表現の不自由展」への妨害
「表現の不自由展」は、元々は2019年の「あいちトリエンナーレ2019」の中で行われた企画だった。過去に様々な理由で展示を問題視された作品、またはそれにちなんだ作品を集めて展示するという内容だ。
この企画は、多くの右派市民の反発を招いた。特に彼らの感情を逆撫でしたのは、2つの作品だった。日本政府が世界各国でその設置を妨害し続けている、日本軍「慰安婦」を含む全ての戦時性暴力被害者を象徴する「平和の像」。また、昭和天皇の図像を使った作品が、いわゆる「菊タブー」によって、美術館の展示を問題視されたことを風刺した映像作品「遠近を抱えて PartⅡ」。しかしその文脈は正しく読み解かれず、単に天皇の写真をガスバーナーで燃やしているという表層だけ見られて攻撃されたのだった。
「あいちトリエンナーレ」で芸術監督を務めた津田大介によれば、実行委には大量の脅迫FAXや脅迫メールが届いた。会場には妨害する右翼たちが集まり、警備上の問題もあったため、企画展は一時中止を強いられることとなった。
愛知県知事へのリコール運動と、偽造署名問題
右翼の批判は、「あいちトリエンナーレ」に会場を貸し、補助金を出して開催を支援した愛知県にも向かった。大村秀章愛知県知事は、文化芸術を振興する際に県がその内容に口出しすべきではないという原則的立場に立って、「あいちトリエンナーレ」の中止を求める声を退けた。そのことによって大村知事は右派の怒りを買い、整形外科医の高須克弥を中心に、河村たかし名古屋市長も参加する知事のリコール運動が起こった。河村市長は、「あいちトリエンナーレ」に対する市の補助金を取り下げていた。
しかし、この運動には当初から不正疑惑があった。署名数が規定数に達せず、リコールは失敗に終わった。そしてその後、リコール組織委がアルバイトを使って大量の偽造署名を作成していたことが明らかになった。今年の5月19日、元日本維新の会の田中隆博組織委員長が、首謀者として逮捕された。田中委員長は高須院長も偽造を知っていたと周囲に漏らしており、関与が疑われている。さらに、河村市長も知っていたのではないかという疑惑もある。
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