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安保法案が憲法違反なら憲法を改正するしかない
長谷部氏は解釈改憲をすべて否定する立場ではない。靖国神社参拝のように憲法に規定のない行為を合憲と解釈することはありうるが、「はっきり違憲だとされてきたものが、条件を付ければ合憲になるという主張は、およそ理解ができません」という。
憲法学者がこう判断するのは当然だが、政治は憲法学の研究とは違う。憲法学者の主張を政府が忠実に実行すると、自衛隊を解散し、安保条約も破棄して、日本からすべての軍事基地を撤去しなければならない。中国が南シナ海で拠点を構築し、朝鮮半島も不安定化する中で、丸裸で国民の安全を守ることができるのか。
今まで自民党はこの矛盾を曖昧にして、解釈改憲で自衛隊と日米同盟を増強してきたが、ここにきてその限界がみえた。憲法は手段であって目的ではない。国民の安全を守るために安保法制が必要なら立法すべきだし、それが憲法違反だというなら憲法を改正するしかない。
これ以上、曖昧な解釈改憲で憲法を空文化することはやめるべきだ。「押しつけ憲法」か「人類の平和の理念」かとかいった神学論争を国会で繰り返すのはもうたくさんだ。日本と同じように敗戦で軍を無力化され、暫定的な「基本法」しか制定できなかったドイツは、その後58回も基本法を改正した。
政府は法案をいったん撤回し、憲法第9条第2項を削除する憲法改正案と一緒に「憲法改正が否決されたら自衛隊は解散し、安保条約も破棄する」という法案を出してはどうだろうか。憲法改正案が否決されたら、小泉首相のように衆議院を解散して「国民の安全と憲法のどっちが大事か」と信を問えばいい。それが「戦後レジームの清算」の第一歩である。
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