森 習近平政権が成立してから韓国人の中国に対するイメージは下降の一途をたどっています。2013年に51%だった韓国人の習近平への好感度は、2021年には8%になっています。(出典:Gallup Korea第472号、2021年11月)
特に韓国の20代・30代は中国に対して強いアレルギーがあります。今年4月の調査では、20代・30代の91%が「中国に対して好感を持たない」と回答しました。これは北朝鮮に対する非好感度(88%)よりも高いものです。(出典:社団法人「正しい言論市民行動」、2030社会意識調査、2023年4月)
今の若い世代は、生まれたときには既にKポップやKカルチャーが世界に進出していました。そのため先進国の一角として、韓国は普遍的価値の追求において、つまり人権問題や公平・公正の問題、民主主義の問題で、中国に対して優位に立っているという感覚があります。
野嶋 そうなると、韓国における中華という概念の復興は難しいですね...。私は今回「台湾で『中華』は限りなく透明になる」というタイトルで、台湾において中華という要素が希薄化している、記号化していると説明しようとしました。これは牧野先生のベトナムの論考にもあるように、中華を相対化していくプロセスだと理解することもできます。
実は台湾ではここ数年、ベトナムの歴史がブームになっています。戦後、台湾は国民党の支配の下で、中国国家として半世紀近く中国化を展開してきました。しかし今、台湾の中の「中華」という要素を削る選択を、日々苦しみながら行っています。
他方、ベトナムは中国から国家体制を学んだという揺るぎない事実のなかで、中国との距離感や「中華」という要素の相対化を長い歴史をかけて行ってきました。
その点に台湾人が関心を持っている。牧野先生のご論考からはここ数年台湾で起きている、ベトナムの歴史ブームの理由がわかりました。
岡本 ベトナムとの共通点は面白い点ですね。森先生はいかがでしょうか?
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