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カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らかに ヒト以外で確認されたのは初めて
「7歳くらいの子供に匹敵する」と考える研究者もいるカラスの知能ですが、今回のテュービンゲン大の研究では、「カラスはまさに幼児と同じような思考能力を使って、声に出しながら数を数えている」ことが判明しました。
この研究の重要な部分は、カラスが数の概念を持っているところではありません。数の感覚自体は様々な動物に備わっている能力です。
これまでの研究では、たとえばセイヨウミツバチは4までの数を認識し、訪れる花の順序を覚えて効率的に蜜を集めたり、巣に帰る時の手がかりに使ったりしていることが分かっています。
アフリカライオンのメスの群れに、別の群れのメス1頭の唸り声を聴かせると戦う姿勢を取りましたが、3頭以上の唸り声の場合は躊躇したという報告もあります。ハイイロオオカミでは、自分の群れの数によって狩る獲物の大きさを決めており、9匹以上いる時しかパイソンを狩ろうとはしない様子も観察されました。
ヒトだけが持つと考えられてきた能力
今回の研究論文の責任著者にもなっている神経生物学者のアンドレアス・ニーダー博士は、動物の数の認識に関する150以上の論文を分析し、「数に関する何かしらの能力は、ほぼすべての動物に備わっている」と結論づけています。
一方、数を声に出しながら数え上げることは、数を理解する能力と発声をコントロールする能力を高度に組み合わせなければならず、ヒトだけが持つ能力と考えられてきました。
ヒトは数を覚え始める幼少期、3つの物を「いくつ?」と尋ねられると、単に「3」と答えるのではなく、「1、1、1」や「1、2、3」と物体の数と同じだけ発声して数えます。もっとも、小さい子供は、発声の数は正しくても「1、1、4」などと数字の名前はごちゃ混ぜになってしまうことがあります。それだけ、数の概念を声とリンクさせて正しく数え上げることは難しいのです。
本研究では、3匹のハシボソガラス (学名:Corvus corone) を対象として実験を行いました。カラスたちは、任意の記号や音声で視覚と聴覚の両方の刺激が与えられ、それに応じて1~4回の鳴き声を出し、終了の合図を押すように訓練されました。たとえば、2という数字や2回の音に対して、カラスが2回鳴いてEnterキーをつついて終了を知らせることができれば、報酬(エサ)がもらえます。
実験の結果、すべてのカラスがカラス語で「1、2、3、4」と数に応じた違う鳴き声を出しながらカウントしていき、偶然以上の高い確率で、予め合図で決められていた回数でピタッと止めることができました。間違った場合でも、1回多いか少ないかという近い値での間違いでした。
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