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OISTが燃料不要な「量子エンジン」の設計・製作に成功 エネルギー新時代の幕開けか
けれど独ドレスデン工科大は18年に、EMドライブからわずか(4マイクロニュートン)な推力が観測されたものの、EMドライブでマイクロ波が発生しない状態にして実験装置のみを起動させても同じ推力が観測されたことから、EMドライブが生む推力と考えられてきたものは、地球の磁場と電源ケーブルの相互作用によって生じた力ではないかと結論づけました。
ドレスデン工科大ではその後も研究が続けられ、21年にはNASAの追試で発生した推力はエンジンの熱による装置の歪みによるものと考えられると発表しました。「高出力での追試がまだ行われていない」という声もありますが、「宇宙開発を促進する夢のエンジン」と期待されたEMドライブに対して実用化を信じる人は、今やほとんどいなくなりました。
量子熱機関を模擬的に再現
一方、量子テクノロジーの進展とともに期待が高まっているのが、量子エンジンです。この分野で日本は世界を先導しています。
理化学研究所を中心とする国際研究チームは2020年、スピン量子ビットで量子熱機関を模擬的に再現することに成功しました。
通常のデジタル回路では「0か1か」で情報が保持されるのに対し、この研究で用いたスピン量子ビットは「0でありかつ1でもある」という量子重ね合わせの状態を任意の割合で組み合わせることで情報を表現します。
また、熱機関は、熱エネルギーから動力を生み出す「エンジン」と、その逆過程で動力を用いて高温部分から熱を奪う「冷凍機」に大別されます。研究チームによると、スピン量子ビットでは、エンジンと冷凍機の機能を高速で切り替えるなど、従来の古典熱機関では実現し得ない技術の開発につながると期待できるといいます。
この研究では、本来ならばスピン量子ビットを高温部分及び低温部分と選択的に相互作用させて量子熱機関を作るのですが、現代の技術では難しいため、代わりにエネルギー差が大きい、あるいは小さいスピン状態と磁気共鳴により相互作用するようなマイクロ波をスピン量子ビットに照射しました。つまり、エンジンと冷凍機の間に量子干渉効果が現れるかに主眼を置きました。
その結果、ゆっくりとした方形波変調(0.05MHz)の下では現れなかった、複雑な干渉パターンが速やかな方形波変調(2MHz)の下で観察されました。これは、模擬的な量子熱機関の成功を示唆する「量子重ね合わせ」が現れたためと解釈できました。
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