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幻の常温常圧超伝導ニュースを超えた! 京大チームが超伝導体で「ノーベル賞級」の大発見か
私たちの身の回りのものは、すべてが原子で構成されています。原子の中身は①電気的にプラスで大きさが大きい陽子、②電気的に中性で大きさが大きい中性子、③電気的にマイナスで大きさが小さい電子に分けられます。陽子や中性子の質量は、電子の約1840倍です。
電子は陽子や中性子から離れたところを飛び回っており、電子の個数によって物質の性質が変わります。金属では、電子をたくさんの原子で共有することで自由に動ける状態になっています。つまり、電気が流れることができます。
通常、電子は質量と電荷(電気の量)を持っています。ところが1956 年にアメリカの理論物理学者のデイビッド・パインズ博士は、固体中で電子が奇妙な振る舞いをする可能性を予言しました。電子が結合して、質量がなく、電気的に中性で、光と相互作用しない複合粒子を形成できると考えたパインズ博士は、この新しい粒子を「特異な電子の運動(DEM:distinct electron motion)」と粒子を表す接尾辞「on」から「DEM-on(悪魔)」と名付けました。
けれど、これまではパインズ博士の提唱した「悪魔粒子」が実際に観測されたことはありませんでした。というのも、悪魔粒子はまだ分からない部分の多い超伝導の性質の解明や合金の生成条件を説明するのに役立つと考えられていましたが、光を使った装置で検出できず、電荷や質量も持たないために、観測のしようがなかったためです。
思わぬ形で重大発見
今回の研究の中心となった前野教授は、固体物理学の大家です。約 30 年前にストロンチウム・ルテニウム酸化物(Sr2RuO4)で超伝導を発見しました。ただ、その超伝導性はまだ完全解明には至っていなかったため、運動量分解電子エネルギー損失分光(M-EELS)というこれまでにあまり適用されていなかった特別な実験手法を用いて解析を試みました。その結果、「パインズの悪魔」を世界で初めて観測するという予想外の重大な発見に結びつきました。
この実験装置は、金属に電子を打ち込んで反射してくる電子の運動量とエネルギーを測定しています。そうすることで、金属中に形成されるプラズモン(金属中の電子が集合的に振る舞って起こす振動)などの電子の振る舞いを直接観察することができました。
前野教授らがストロンチウム・ルテニウム酸化物のデータを解析してみると、よく知られたプラズモンのものとは異なる「長波長でギャップレス、強度の運動量依存性・臨界運動量」の励起モード、つまり質量のない複合粒子の存在を観測しました。これは「パインズの悪魔(悪魔粒子)」を示唆するものでした。
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