コラム

慣れない雪道、どう歩く? 3ステップで防ぐ転倒事故

2022年01月18日(火)11時30分

3.滑りやすい場所を知っておく

路面が滑るのは、雪そのものよりも、押し固められて氷になったり、溶けて水になったりすることが原因になります。バス乗り場や横断歩道の周辺、駐車場の出入口は、人や車が雪を踏み固めたり、車の排熱で雪が溶けたりする危険な場所です。また、雪道から暖房の効いたタイル張りの床の建物や電車に入る時は、靴の裏についた雪をしっかり落としておかないと、溶けた水で滑ってしまう可能性があります。

4.正しい転び方を知っておく

雪道では、後ろに滑って頭を打たないようにすることが何よりも重要です。また、無理な姿勢で転ぶと、骨折したり腰を捻ったりする恐れがあります。転びそうになったら、我慢し過ぎずに、両手を曲げて手のひらを地面についてお尻で着地するようにすると、転んだ時の衝撃を和らげることができます。

5.外出時は、両手を自由にする

荷物はリュックか肩掛けカバンに入れて、左右均等に荷重がかかるようにします。雪や雨がまだ降っていても、雪が路面に残っているうちはできるかぎり傘を使わないようにしましょう。

次に、雪道を歩く時の姿勢を確認しましょう。

【雪道への心構え2・基本姿勢編】

1.視線は、つま先より少し先に置く

自分が次に踏み出す場所の路面の状況をしっかりと見て、凍っている場所、一部だけが濡れている場所などを避けます。

2.膝を軽く曲げて、重心を前方かつ下方に置く

滑った時に足のかかと側に体重が乗ると、後ろに転びやすくなります。歩きにくくない程度に膝を曲げて、少し前かがみになって歩けば、重心は前方かつ下方に置かれるので、転んでも後ろに倒れるリスクが少なくなります。重心が下にあると、滑った時に姿勢を建て直したり、足を踏み直したりしやすくなります。

3.足の裏全体を地面に付ける

姿勢が安定するように、足の裏の地面についている部分(接地面)を広くすることが重要です。前出の1と2のコツを実行すると、重心はやや前にありますから、足の裏も指の付け根あたりに体重がかかっているイメージをします。

それでは、いよいよ雪道を歩きましょう。

【雪道への心構え3・歩行編】

1.体幹から足を離さずに、歩幅を小さくする

体幹から遠いところには、足を置かないようにします。歩幅を大きくすると、重心の移動が大きくなって転倒しやすくなるので、歩幅をできるだけ小さくします。すり足だと、靴の底に雪や削れた氷が挟まって、グリップが効きにくくなる場合もあります。足は、地面からわずかに浮かせましょう。

ガニ股になっていると、滑った時に身体の外方向に足が滑ります。両足は肩幅より狭くして、平行かやや内股で歩きます。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story